口コミを中心に現在ヒットを飛ばしている長澤まさみ主演のホラー映画『ドールハウス』。ネット発のベストセラーホラー小説を菅野美穂主演で映画化した、2025年8月8日公開予定の『近畿地方のある場所について』など、1998年の『リング』や2003年の『呪怨』をきっかけに社会現象化し、果てはハリウッドにも大きな影響を与えたJホラーは今、新たな波を迎えている。
“第三次Jホラーブーム”とも呼ぶべきこの潮流の中、その原点に立ち返るように『リング』を撮った名匠・中田秀夫監督の最新作『事故物件ゾク 恐い間取り』が今月の7月25日に公開を迎えた。
(C) 2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会
松竹芸能の“事故物件住みます芸人”松原タニシさんの体験記をまとめたヒット本『事故物件怪談 恐い間取り』が原作である、前作の『事故物件 恐い間取り』(2020年)は、オリジナルの展開を生かしつつ驚きのツイストで世間を沸かせたことでも記憶に新しい。その続編となる本作は、タレントになる夢を諦めきれず福岡から上京し、ひょんなことから“事故物件住みますタレント”として活動を始めた主人公が体験する恐怖を、前作とは異なるテイストで描き出している。
今回はそんな中田秀夫監督に前作『事故物件 恐い間取り』、そして最新作の制作秘話についてお話を伺った。(以下、「」内は中田監督のコメント)
渡辺翔太が持つ“恐怖顔”の可能性
本作は続編ものでありながら、亀梨和也さんが演じた前作主人公の山野ヤマメは登場せず、あえてアイドルグループ「Snow Man」の渡辺翔太さん演じる桑田ヤヒロという新たな主人公を立てたのが印象的だ。前作とのつながりをあまり意識しない選択をしたのにはどういった理由があったのだろう。
「前作は5年も前の話なので、今回初めて見る人でも気兼ねなく楽しめるようにしたかったのです。とはいえ、原作者のタニシさんが身を置く芸能界の雰囲気が本シリーズの大きな要素なので、芸人からタレントにキャラクターを変えましたが、テイストは残っていると思います。
前作は恐怖の雰囲気は残しつつも、一方で芸人さんたちが主人公なので“心霊をバラエティ的に捉える空気感”を盛り込んだことでホラーファンを驚かせましたが、今回はまた違ったアプローチを取りました」
(C) 2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会
渡辺さんは映画単独初出演ということだが、現場でメガホンを取られたときに彼に感じた印象はどうだったのか。
「渡辺翔太さんはすごい美男子ですからね『いい顔を引き出せるな』と思いましたよ。ときに、僕はホラー映画向きの俳優さんというのがいると思うのです。一言で言うとそれは、ものすごい美男美女であること。
ホラー映画というものは、幽霊だったり怪物だったり狂気の犯罪者だったり、そういう“恐怖の対象そのもの”だけではつまらないのです。それらに“恐怖する人”が写ってこそ盛り上がる。普段は美しく整っている美男美女の顔面が恐怖で歪む、この落差が観客を引きつけるのです。彼はまさにハマり役だなと感じました」