
番組冒頭に登場する写真。日中戦争下に、戦地で日本兵がうたげをする様子を捉えた
戦時中の報道写真を題材に、混沌(こんとん)とした社会におけるメディアの在り方や、フェイクニュースとの向き合い方などを問いかけるドキュメンタリー番組「映像’25『戦中写真は語る~新聞報道と戦後80年~』」が27日午前5時、MBSテレビで放送される。
ある1枚の写真から番組は始まる。日中戦争の戦地で日本軍兵士がうたげを開く様子だ。くつろいだ表情で、戦友の杯に酒を注いだり、笑顔を見せたり。極限の状況で、兵士が人間性を取り戻した瞬間を記録していた。新聞社の特派員によって撮影されたものだが、軍の検閲により紙面への掲載は許可されなかったという。
番組は、毎日新聞社の特派員が日中戦争や太平洋戦争で撮影した「戦中写真」に焦点を当てる。今も保存されている写真・ネガは約6万点。戦時中は各新聞社が軍の成果をいち早く伝えようと競い合い、大阪毎日・東京日日新聞(現・毎日新聞)も少なくとも657人の特派員を中国大陸などの海外に派遣し、91人が殉職した。