石破茂首相が続投を表明したことを受け、自民党内の駆け引きが始まっている。小泉進次郎農相ら閣僚からは首相を当面支える方針を示したものの、一部の若手議員らからは参院選大敗の責任を取って辞任するよう求める声が上がった。党内が混乱すれば政局が混迷し、市場の不安定要因になる可能性がある。

  小泉農相は22日の閣議後会見で、参院選の結果について「比較第1党に胸を張るのではなく、過半数を達成できなったことを重く受け止めるべきだ」と指摘し、国民に理解を得るための説明を続けるよう求めた。自らは農相としての「職責を石破政権の一員として果たす」と明言した。林芳正官房長官も、首相を「引き続き支えたい」とコメントした。

  小泉、林両氏は昨年の自民党総裁選に立候補し、仮に石破首相が辞任した場合の後継候補としても名前が挙がっているが、閣僚として首相を支える立場を強調した形だ。同じく総裁選に立候補していた加藤勝信財務相は「政党としてどう対応すべきかについてコメントするのは差し控えねばならない」と述べた。

  これに対し、西田昌司参院議員は21日、ユーチューブに投稿した映像で、石破首相の続投は「あり得ない」とし、辞任すべきだと記者団に語った。鈴木英敬衆院議員もX(旧ツイッター)に続投表明は「選挙による審判を軽視していると言わざるを得ない」と批判。自民が敗退した昨年の衆院選なども含めた選挙結果を「重く受け止め、早期にご判断をいただきたい」と退陣を促した。

  河野太郎前デジタル相はXで、米国との関税交渉の最中に首相が続投するのは「理由がある」と一定の理解を示した。ただ、選挙の責任者である森山裕幹事長が辞表を出していないのは「おかしい」とし、幹事長の辞任を求めた。

  市場では自民、公明連立与党の過半数割れで、中長期の債券相場が中長期的に下落(金利は上昇)に向かうとの見方が出ている。消費税減税を掲げる野党の影響力が強まる中、財政拡張への懸念が再燃する可能性がある。

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  こうした中、総裁選で石破首相陣営の選対本部長だった岩屋毅外相は22日の会見で、「最も大切なことは国政に停滞を招かないことだ。ここは進むも地獄、退くも地獄だ。国家・国民のために前に進んでいかなければならない」と述べ、首相を擁護した。

  総務省の発表によると、20日の参院選で自民と公明の連立党は参院全体の過半数維持に必要だった50議席に届かなかった。国民民主党と参政党は議席を二ケタ台に増やす大躍進で、日本維新の会は1議席を上積みした。立民は選挙前の議席を維持した。

 

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