米連邦政府が半世紀にわたり続けてきた公共テレビ・ラジオへの資金支援が終わりを迎えた。イーロン・マスク氏が主導していた「政府効率化省（ＤＯＧＥ）」の取り組みに基づき連邦支出90億ドル（約１兆3400億円）を包括的に削減する法案を可決した。
法案は賛成216、反対213で下院を通過。これに先立ち、上院でも賛成51、反対48で承認されており、トランプ大統領の署名を経て成立する。同法の施行で、公的放送への資金11億ドルの削減に加え、複数の対外援助プロジェクトが打ち切られ、米平和研究所も閉鎖される。
ＮＰＲ本部（ワシントン）
Photographer: Al Drago/Bloomberg
米公共放送（ＰＢＳ）と米公共ラジオ（ＮＰＲ）を財政面で支えてきた公共放送機構は10月１日以降、全ての連邦資金を失うことになる。大都市圏の放送局はスポンサーや寄付によって存続が見込まれる一方、地方の小規模局は閉鎖に追い込まれる可能性が高い。
共和党は数十年にわたってＰＢＳとＮＰＲへの資金を打ち切りを図ってきた。両放送局が本来の使命から逸脱し、保守派に偏見を示すようになったと批判。テッド・クルーズ上院議員（共和、テキサス）は議場で「左派のプロパガンダが見たければＭＳＮＢＣを見ればいい。だが、それを納税者に負担させるべきではない」と述べた。
これに対し、公共放送を擁護する声もあった。リサ・マカウスキ上院議員（共和、アラスカ）は、ＮＰＲの全米報道における政治的バランスの改善は可能で、地方局の番組を切り捨てる必要はないと訴えた。
原題：House Strips PBS, NPR of Funds as Trump Vows More DOGE Bills（抜粋）