
Blackmagic Designによると、ニュージーランドに拠点を置くポストプロダクションスタジオPRPVFXが、VFX/モーショングラフィックス・ソフトウェアであるFusion Studioを使用して、近日公開予定のSFホラー映画「Ash」の340個以上のVFXショットを作成したという。同作は、実験音楽家であり映画監督でもあるスティーブン・エリソン(通称:フライング・ロータス)氏が監督を務めた。
屋外のロケ地の物理的なセットを最小限に抑え、主に倉庫内で撮影されたこの作品において、PRPVFXのチームは、映画のオリジナル音楽も担当した監督のユニークな創造的ビジョンを反映した、シュールかつ高度に様式化された風景とエフェクトを作り出すという課題に取り組んだ。PRPVFXのチームは、ポストプロダクション全体を通じてフライング・ロータス監督と緊密に協力し合い、数十年にわたる経験と強固に統合されたBlackmagic Designワークフローを活用することで、映画のサイケデリックなSFの世界に息を吹き込んだ。
PRPVFXのディレクターであるジョージ・ポート氏は次のように説明する。
ポート氏:「Ash」のすべてのVFXはFusionで仕上げると決めました。物理的なエレメント、グリーンバック、モデルのミニチュア、Unreal Engine環境、そして実際のフッテージがありましたが、Fusionは、これらすべてを3D合成環境に統合するためのハブになりました。かなり大規模なジョブでしたが、Fusionがすべて処理してくれました。
PRPVFXは元々、「Hercules」と「Xena」の制作チームから派生して設立され、過去数十年にわたって主要な映画やテレビのプロジェクトにVFXを提供してきた。長年にわたりBlackmagic Design製品を使用してきたポート氏によると、Fusion StudioとDaVinci Resolve Studioに完全に移行するという決定は、技術的な理由と哲学的な理由の両方によるものだという。
ポート氏:毎日のようにクラッシュするVFXソフトウェアのサブスクとメンテナンス料金の支払いにうんざりしていた中、Blackmagicのアプローチは理にかなっていると思いました。
Fusionは安定性があり、パワフルで低コストです。「Ash」の作業中に、Fusionで20個のフル解像度の合成を1週間以上開いていましたが、一度もクラッシュしませんでした。このようなことは、他のプラットフォームでは聞いたことがありません。
このワークフローを可能にした主な機能は、Fusion Studioの高度な3Dトラッキングとキーイングツールです。この作品では、反射する宇宙服やガラス製のヘルメット、複雑なビジュアルのルックなどが登場しますが、Fusionのキーイングツールの精度により、厳しい照明条件のショットでも、自然なルックの合成を作成できました。
また、Fusionの3D作業空間を最大限に活用し、グリーンバックのエレメントを3DトラッキングされたカメラデータやUnrealレンダリングと統合して、統一感のある映像を実現しました。
同映画の重要なシーンの1つに、CGで作成された異星の風景の中を宇宙ステーションに向かって歩く登場人物のシーンがある。
PRPVFXのシニアVFX監督であるカロル・ピートリー氏は、次のようにコメントしている。
ピートリー氏:これは、クリエイティブな反復を伴う挑戦的な合成でした。監督のフライング・ロータスは、非常に熱心で技術的にも有能なので、私たちは迅速かつ効果的に協力してルックを洗練させることができました。Fusionでは、ひとつのシーンの別のバージョン間をすばやく移動して最も適したルックを見つけられます。
実験的音楽とカルト映画「Kuso」の監督で知られるフライング・ロータス監督は、制作全体を通してVFXチームと密接に仕事を進めた。
ピートリー氏:彼はムードボードやUnrealのシーンを私たちと共有し、チームミーティング中に直接フィードバックをくれました。このレベルのコラボレーションにより、ユニークでまとまりのある作品を実現できたと思います。
PRPVFXはまた、プレートの作成とファイルの準備にもDaVinci Resolve Studioを使用している。長年のBlackmagic Designユーザーであるポート氏によると、同社が現在 Blackmagic Designのエコシステムに完全に組み込まれているという。
ポート氏:スタジオでは、Fusion、Resolve、DeckLinkなどを使用しています。私は初期の頃からのBlackmagicファンです。強力なツール、公正な価格、そしてクリエイティブコミュニティへの真の配慮というBlackmagicの信念は、私たちのビジネス方針と一致しています。