※日経エンタテインメント! 2025年6月号の記事を再構成

SKY-HIが企画し、『池袋ウエストゲートパーク』など数多くの人気作品で知られる堤幸彦が監督を担ったFODオリジナルドラマ『ゲート・オン・ザ・ホライズン~GOTH~』が2025年7月上旬に最終回を迎えた。沖縄コザを舞台にした一風変わった南国青春グラフィティに主演するのは、SKY-HI率いるBMSG所属の10代のトレーニー、RUIとTAIKIとKANONだ。ドラマ初出演の3人は、24年冬、42日間沖縄に滞在して撮影に臨んだ。まずは主演が決まったときの話から聞いた。

(左から)ドラマ『ゲート・オン・ザ・ホライズン~GOTH~』に初主演したRUI、TAIKI、KANON

(左から)ドラマ『ゲート・オン・ザ・ホライズン~GOTH~』に初主演したRUI、TAIKI、KANON

『ゲート・オン・ザ・ホライズン~GOTH~』

堤幸彦監督×SKY-HI 10代のエナジーが沖縄を舞台に爆発

堤幸彦監督×SKY-HI 10代のエナジーが沖縄を舞台に爆発

見たものすべてを記憶する能力を持つタク(RUI)、空手の達人ミック(TAIKI)、ゴシップ好きの情報屋ヨウジ(KANON)は沖縄・コザのゴヤ高校の同級生。彼らはある日、少女アオイ(服部樹咲)と出会い、彼女の人探しを手伝うことに。BMSG所属のedhiii boiも出演。(FOD配信中)(C)フジテレビ

KANON 最初に聞いたときはすごく驚きました。1年半くらい3人で演技レッスンをやってきたんですが、その成果が生きると思うと、とてもワクワクしました。

RUI 最初は少し不安もありました。撮影中は、KANONの部屋に集まって、翌日撮影するシーンのセリフをみんなで確認したり、大変なことは多かったけど楽しかったですね。

TAIKI トレーニー(練習生)としての初ライブ(2024年「BMSG TRAINEE SHOWCASE TOUR2024」)のときも思ったんですが、KANONは本番での落ち着きが半端ないんですよね。演技が自然だし、勉強になることが多かったです。RUIは音楽面でもそうですが、吸収する力が高いので、僕も焦らされる場面が多かったです。

RUI KANONは以前、役者志望だったこともあって、演技レッスンの段階で「芝居が様になってるな」って思っていたんですが、現場でもやっぱりうまかったです。TAIKIとは切磋琢磨していこうと思ってたんですが、TAIKIもどんどんうまくなっていったので焦りました。結果的に、お互いに成長して高め合えたと思ってます。

KANON 演技レッスンをやっていたとはいえ、レッスンでの台本は短いし、役の背景を深く考えて演じるわけではない。性格とかの設定がしっかりある役を長い期間演じ続けるのは初めてだったので、めちゃ新鮮でした。

TAIKI 撮休(撮影が休みの日)には、近くのショッピングモールへめちゃくちゃ行きました。

RUI ホテルからタクシーで移動できる距離で1番行きやすいのがそこで。アメリカンビレッジにも行きたかったけど、距離があるからお金もかかるじゃないですか。だから、ショッピングモールか海へ行くかって感じで。

KANON 海もほとんど行ってない。ほぼショッピングモール。8回は行った。僕だけ撮休だったときも行って、もうそこの話なら、どこに何があるかとか何でも答えられます。

主題歌には物語の伏線が

 3人はドラマの主題歌『GOTH』も担当。それぞれの歌/ラップの実力と3人の声が合わさったときの唯一無二のハーモニーが詰まった1曲だ。

主題歌はRUI・TAIKI・KANONによる『GOTH』(配信中)。劇伴にはBMSG関連の曲も

主題歌はRUI・TAIKI・KANONによる『GOTH』(配信中)。劇伴にはBMSG関連の曲も

KANON まずデモを聴いたときに、僕たちがこれまで発表してきた曲にはなかったオールドスクールのヒップホップで、「こういう曲をやってみたかった」って思ってワクワクしました。

RUI こっち系は全然やったことなかったから「ウェイ!」ってなりました。

TAIKI セリフのように歌うパートがあるのですが、42日間の演技の経験を生かして、しっかり感情を込められたと思っています。

RUI 歌詞は日高さん(SKY-HI)が書いてくださったんですが、歌詞が届いたときにはドラマの脚本も最終話まで来ていたので、物語とリンクするところがあるなと感じました。レコーディングは撮影を終えてからで、自分が演じたタクという役に入りながらもRUIとしての気持ちも入れるっていう新しいアプローチができた。高音が少し難しかったですが、成長を感じましたね。

TAIKI 日高さんが歌詞を書いたときには仮の脚本しか上がってなかったんじゃないかと思うんですが、撮影が終わってから歌詞を読むと、「これってこういうことだったんだ」っていう伏線回収があって、改めて「日高さん、すごいな」と思いました。

KANON 僕はヨウジっていう役なんですけど、特に何もしてないやつで、何もしてないのに事件に巻き込まれるんですよ。だから、僕は特に役を意識しなかったっていうか。「どんな道なら正しい生き方? 待ってはくれない」というパートを僕が歌っているんですが、この歌詞はたぶん(RUIが演じる)タクに向けてで。人間にはいろんな顔があっていろんな道もある。でも、そのうちどれが正しい生き方なのかなんて悩んでる暇ねえよっていう。

RUI 間違いない。僕は全然悩んだり迷ったりしたことないけど。

KANON おおお。出た、ビッグマウス!

TAIKI たまに出るビッグマウスキャラ、何なの(笑)? ファンの方、日高さん、BE:FIRST、いろいろな方々からよく「3人の声の相性が良い」って言ってもらえるんですけど、それぞれ強い個性があるけど合わさると良いチーム感があるなって自分でも感じてて。『GOTH』みたいな曲でも声の相性の良さが発揮できるんだなって思いました。

KANON 僕たち全然仲良くないんですけど。

RUI ダンダンダン!!(奇声を上げる)

KANON (笑)。いや、嘘です。普段から仲が良いと、一緒に歌ったときも自然とバイブスが合うんだなって感じるんですよね。

TAIKI マジでそう思う。バイブスが合ってるから、ダンスも意識せずとも細かいところまでそろうんだなって思う。

KANON 言葉ですり合わせしなくても解釈が一致することが多いよね。

RUI 音楽の趣味はバラバラなのに、一緒に歌ったり踊ったりするとバイブスが合うんですよね。

撮影中も仲の良さを見せるRUI、TAIKI、KANON

撮影中も仲の良さを見せるRUI、TAIKI、KANON

 RUIとTAIKIはBE:FIRSTを輩出したオーディション「THE FIRST」に参加。KANONはMAZZELを輩出した「MISSION×2」に参加。それぞれ約4年間と2年間、トレーニーとして共に研さんを重ねてきた。そしていよいよ、彼らのデビューに向けてのオーディション「THE LAST PIECE」(25年6月末よりTBS系『THE TIME,』で放送)が始まっている。

今、ドラマを経験した意義

RUI 毎日のように一緒にレッスンをやってきて、TAIKIとKANONに対して知らないところはないと思っていたんです。でも、今回の撮影で一緒に過ごして、「まだまだ知らないところがあったんだな」って思いました。例えばTAIKIは、ドラマのスタッフの方に何か言われた直後に同じことを僕に質問してきたり(笑)。

KANON しかも「はい! 分かりました!」って元気よく返事した3秒後に、「あれってどういうこと?」って(笑)。

TAIKI 確かに(笑)。

RUI より深く2人のことが知れたことはめちゃくちゃ良かったなって。

TAIKI より仲が深まって“家族”になれた気がしました。タイトなスケジュールのなかで長文のセリフを覚えなければいけなかったんですが、3人でホテルの部屋で読み合わせをしたりして乗り切れた。そうやって支え合えたことは、きっと「THE LAST PIECE」にも生きると思います。

KANON アーティストとしてデビューしたら42日間も沖縄でロケをすることは現実的に厳しいと思うので、トレーニー期間だからこその貴重な経験をさせてもらえてありがたいです。このドラマをきっかけに、「THE LAST PIECE」に興味を持ってくださる方も少なからずいらっしゃると思うので、その点でもありがたいことだなって思いました。

TAIKI ドラマを通じて様々な感情を抱けたことも今後の音楽活動に生かせると思います。「THE LAST PIECE」の前に3人で長く一緒にいられて密な話し合いができたことも良かった。

RUI 絆が深められたことは今後いろんな面においてポジティブに作用すると思います。

KANON たとえ仲が良くても42日間毎日一緒だとギスギスしてしまうこともあると思いますが、僕たちはお互いを思いやったうえで言いたいことを言い合える仲になれた。この撮影を通じてそういう関係性が築けたことで、今後壁にぶつかったときも、一緒に乗り越えていけるんじゃないかな。

 当初、3人は「THE LAST PIECE」3次審査から参加する予定だったが、自ら2次審査から参加したいと訴えたという。その理由は?

TAIKI 僕は自分たちが途中参加だとは想像してなかったんです。だから純粋に「2次審査から受けたい」って言った。

KANON その言葉を聞いて、僕らも確かになと思ったんです。これまで長くBMSGでトレーニーとしてやってきたとはいえ、他の参加者だってそれぞれに頑張ってきた過去がある。だから同じ土俵から始めて一緒に駆け上がっていくのが大事なんじゃないかなって思いました。

RUI やっぱり他の参加者と一緒に2次、3次と経験したほうが自分たちの学びにもなりますしね。

「3人で絶対幸せになろう」

 BMSGではトレーニーの育成方針の1つに「“Amature”ではなく“Prepared”」という言葉を掲げている。機会があればデビュー前から活躍の場を生み出していきたいとし、ステージに立ち、楽曲をリリースし、時には音楽番組への出演も果たしてきた。

TAIKI 練習生っていうとハードなイメージを持つ人も多いと思うんですが、ライブをやらせてもらったり、楽曲をリリースさせてもらったり、めちゃくちゃ楽しい4年間でした。でも、先にデビューしていく人が多かったので、悔しさもありました。この4年間頑張ってきた成果をオーディション(THE LAST PIECE)でしっかり出したいです。

RUI 曲を出させていただいたり、こうしてドラマに出させていただくなかでも3人で気軽に出かけたり、思いっきり青春生活を送れたのはトレーニー期間があったから。本当にありがたいです。

KANON 「MISSION×2」の最終審査で落ちたときはすごく悔しかったですし、しばらくは「MAZZELに入りたかった」という気持ちが残っていました。でも今思うと、あのときの僕はデビューするにはスキルが明らかに足りていなかったし、アーティストになることへの責任感も足りていなかった。デビューに向けて準備万端な状態まで持ってこさせてくれたBMSGのみなさんには感謝してもしきれないです。

RUI 歌やダンスの成長だけでなく、日高さんがどんなに忙しくても笑顔で優しく接してくれる姿を見続けたことで、人間としても成長できた気がしています。TAIKIとKANONがよく「僕たちもずっと謙虚でいよう」って言ってくれるんですが、2人の人間性もリスペクトしています。

TAIKI 「THE FIRST」の頃は全く周りが見えてなかったんですよね。音楽が好きで、ただ音楽に向き合っていたからスキルは身に付いていたと思うんですが、人生経験が浅いので人間的な部分で欠けているところが多くあって。でもこの4年間で、いろんな人生経験を積ませてもらえて人間的に成長できたと思っています。何よりもRUIとKANONっていう一生の仲間に出会えて、「3人で絶対幸せになろう」って気持ちが芽生えたのが1番大きかった。そういう気持ちが生まれたからこそ、アドバイスし合ったりしてお互いを高め合うことができた。

KANON もちろん今後、それぞれに違った“最適な道”が生まれる可能性はありますが、今は3人一緒にデビューしないビジョンが浮かばないっていうか、「しないといけない」とまで思うようになりました。

RUI かますしかないと思ってます!

RUI(ルイ)

RUI(ルイ)

2007年6月1日生まれ。オーディション「THE FIRST」参加を機にBMSGに所属。オーディション時から華のあるステージングと、色気と透明感を兼ね備えたボーカルを見せる。“宇宙人”とも言われるユニークな感性の持ち主

TAIKI(タイキ)

TAIKI(タイキ)

2007年7月28日生まれ。オーディション「THE FIRST」参加を機にBMSGに所属。幼少期からラップを始め、小学生から数々のバトルに参加する。ダンスでもめきめき頭角を現し、そのスキルの高さはBMSG内でもトップクラス

KANON(カノン)

KANON(カノン)

2006年4月3日生まれ。オーディション「MISSION×2」参加を機にBMSGに所属。響きのある低音ボイスと表現力が魅力で、音楽愛は広く深い。その落ち着きっぷりと低音のイケボから「BMSG FES」等でMCを担当することも少なくない

写真/上野裕二 スタイリスト/槌田有希
ヘアメイク/伊澤明日花 、津谷成花 (マスターライツ)

続き:

主題歌には物語の伏線が
今、ドラマを経験した意義
「3人で絶対幸せになろう」

エンタメのここだけの話をお届け!
日経エンタテインメント! メール

 テレビ、音楽、本、映画、アニメ、ゲームなどのエンタテインメント情報を幅広く配信するメールマガジンです。流行に敏感で知的好奇心が強く、トレンドをリードする人たちに役立つ情報を掲載しています。登録は無料!

 ぜひ、ご登録ください!

[画像のクリックで別ページへ]

Write A Comment

Pin