鈴木慶一 ゴンドウトモヒコ

(Photo:Takashi Yashima)

『World Happiness』での高橋幸宏のパフォーマンスを収めた CD+Blu-rayボックス・セットが語りかけてくるもの

高橋幸宏が音楽を通じた“幸福感”を広めようと主催した音楽フェス『World Happiness』。夢の島公園陸上競技場や葛西臨海公園汐風の広場、青森県八戸で2008年から2019年まで開催され、毎回さまざまな音楽ジャンルの多様なアーティストによるパフォーマンスが繰り広げられた。今回その記録の中から、高橋幸宏が演奏に参加した楽曲を中心にセレクトしたライブ音源&映像が、CD4枚+BD+ブックレットのボックス・セットとしてリリース。貴重な記録となったこのボックス・セットについて、『World Happiness』皆勤賞である鈴木慶一とゴンドウトモヒコの2人に、高橋幸宏の思い出とともに語ってもらおうことにしよう。

Text:Susumu Kunisaki Photo:Takashi Yashima

幸宏と話すようになったのは THE BEATNIKSを始めてから

──慶一さんとゴンドウさんは『WORLD HAPPINESS』皆勤賞なのですね。 

慶一 (高橋)幸宏以外は僕たち2人が皆勤ですね。 

ゴンドウ 惜しいのが高野(寛)さん。 

慶一 小山田(圭吾)君も惜しいよね。 

──そういう意味で『WORLD HAPPINESS』を振り返るにふさわしい2人だと思いますが、そもそも慶一さんと幸宏さんのお付き合いはいつごろから始まるのですか? 

慶一 ちゃんと話すようになったのは1981年にTHE BEATNIKSを始めたときで、実はそれまではほとんど付き合いがなかった。イベントの楽屋で見かける程度で、覚えているのは1973年か1974年くらいにサディスティック・ミカ・バンドとキャロルが出たフェスがあって、派手な髪型した人がいるな……幸宏だけ地味目であの髪型いいなと思ったの。

──それが幸宏さんだったのですね。慶一さんはそのときは? 

慶一 あがた(森魚)と一緒にはちみつぱいをやっていた。で、その後に我々はニューウェイブに転向することになって(笑)、幸宏の最初のソロ・アルバム『サラヴァ』の宣材だったかな……スタジオで撮られた写真で、マイクの前でサングラスをして座っているのがすごくかっこ良くて、ああ、この人ミカ・バンドでドラムをたたいてた人だと。 

──そういう意味では、まず幸宏さんのビジュアル面にインパクトを受けたのですね? 

慶一 そうだね。その後は……これは何度も言っている話なんだけど、ムーンライダーズが『ヌーヴェルバーグ』を作っているとき、松武秀樹さんに来てもらってコンピューターを導入し、そこに細野(晴臣)さんにあえて生でスティールパンをたたいてもらったの。そういう屈折した感じがいいなと思ってやっていたんだけど、そんなときに六本木のバーに松山猛さんと一緒に行ったら教授(坂本龍一)がいて、軽く挨拶して松山さんと飲んでいたら、その後に幸宏がやってきて教授に“最近、ムーンライダーズがコンピューターを使っているらしいよ”って、軽い噂話って感じで言って……教授が慌てて“あそこに慶一がいるよ”って(笑)。 

──その後の幸宏さんと慶一さんの仲の良さを知っていると、意外なエピソードですね。 

慶一 幸宏と自分とでは居場所がちょっと違ったんだよね。本当に微妙な違い。強引に言うと都立高校か私立高校かの違いかな(笑)。ムーンライダーズは都立高校出身が4人で、県立高校出身が1人。で、幸宏は私立高校出身。だから音楽をやる場所も違っていた。幸宏とか林(立夫)は若いころからダンパ……ダンス・パーティーでバンドやっていたのに対して、ムーンライダーズのクジラ(武川雅寬)はストリップ劇場でやっていたくらい(笑)。 

──居場所が違った2人がなぜ一緒にやることになったのですか?

慶一 幸宏がラジオ関東……今のラジオ日本で『POP THE HERO ‘80s』っていうラジオ番組を持っていて、その番組のゲストに呼ばれたの。自分が気に入っているレコードを持っていってかけて、幸宏もかける……学生みたいなもんだよ、ひとの家に行ってレコード棚見て、“お、いい趣味してるね”ってことあるよね。それで何度も番組に呼ばれるようになり、幸宏がロンドンに行っている間は代わりにパーソナリティを務め、しまいには私が番組を乗っ取った(笑)。そんなことがあって仲良くなって、一緒にユニットを始めることになったの。ちょうどムーンライダーズは1980年にレコード会社との契約が切れて白紙の状態になったから何でもできる時期で、幸宏も自由が利いたのかな……それでバップが手を挙げてくれて、THE BEATNIKSとしてアルバムを作ることになったんです。 

──実際に一緒にアルバム制作をしてみていかがでしたか? 

慶一 最初だからどうやったらいいのかっていう緊張感はちょっとあったね。2人でずっとシンセで作っていったんだけど…

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Release

world-happiness

『World Happiness』

高橋幸宏

(コロムビア)

CD1

pupa
<高橋幸宏・原田知世・高野寛・高田漣・堀江博久・ゴンドウトモヒコ> 2008/2009/2010

Yukihiro Takahashi(In Phase WH ver.)
<高橋幸宏 with 高桑圭・堀江博久・ゴンドウトモヒコ・LEO今井> 2013

CD2

THE BEATNIKS
<高橋幸宏・鈴木慶一 with 白根賢一・高桑圭・高野寛・高田漣・堀江博久・ゴンドウトモヒコ> 2012

WH13 Special Band The おそ松くんズ
<高橋幸宏・小原礼・Dr.kyOn・佐橋佳幸・小山田圭吾・ゴンドウトモヒコ・鈴木茂・小坂忠・矢野顕子・奥田民生・鈴木慶一・大貫妙子・坂本龍一・細野晴臣・咲坂守(小林克也)・畠山桃内(伊武雅刀)> 2013

METAFIVE
<高橋幸宏・小山田圭吾・砂原良徳・TOWA TEI・ゴンドウトモヒコ・LEO今井> 2015

CD3

HASYMO
<細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏 with 高野寛・高田漣・ゴンドウトモヒコ>

2008 Yellow Magic Orchestra
<細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏 with 小山田圭吾・高田漣・ゴンドウトモヒコ>  2009

CD4

Yellow Magic Orchestra
<細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏 with Christian Fennesz・小山田圭吾・ゴンドウトモヒコ> 2011

Yellow Magic Orchestra
<細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏 with 小山田圭吾・高田漣・ゴンドウトモヒコ>  2012

BD

WORLD HAPPINESS 2008 Pupa/HASYMO
WORLD HAPPINESS 2010 Pupa/Yellow Magic Orchestra
WORLD HAPPINESS 2011 THE BEATNIKS/Yellow Magic Orchestra
WORLD HAPPINESS 2012 THE BEATNIKS/Yellow Magic Orchestra
WORLD HAPPINESS 2013 高橋幸宏/WH13 Special Band The おそ松くんズ
WORLD HAPPINESS 2014 高橋幸宏 with In Phase/高橋幸宏 & METAFIVE
WORLD HAPPINESS 2016 METAFIVE

<インタビュー>
高橋幸宏 スペシャル・インタビュー

 

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