『美術は魂に語りかける』(2019・河出書房新社)アラン・ド・ボトン、ジョン・アームストロング 15カ国で翻訳されているベストセラー。あやふやだったアート体験がよりヴィヴィッドになる、アートとの向き合い方の指南書。

『美術は魂に語りかける』(2019・河出書房新社)アラン・ド・ボトン、ジョン・アームストロング 15カ国で翻訳されているベストセラー。あやふやだったアート体験がよりヴィヴィッドになる、アートとの向き合い方の指南書。

これらの作品は、読むことで内面に鮮やかな色を取り戻せるような、豊かな想像に満ちている。「誰かの人生」を通して、「自分の人生」と向き合う新たな視点を得るための手助けになるだろう。美しさとは、目に見えるものだけではないが、目に見える美しさ=「美術」を「心の言葉」として読み解く方法を提案する『美術は魂に語りかける』もおすすめしたい。絵を見るとは、ただ感嘆することではない。人生の喜びや悲しみを、静かに受け止めること。アートを通じて自分自身と出会い直すという、そんな豊かな体験が、この本の文章や挿絵を通じて優雅に開かれていく。心の奥にある“美意識”を刺激する読書体験は、「スマホの画面」からは得られない、密度の高い価値をあたえてくれる。

DANIEL TAKEDA
竹田ダニエル。研究者、ジャーナリスト。シリコンバレー生まれ、Z世代ならではのデジタルネイティブな感覚、俯瞰の分析力、たくみなリズムの文体で、さまざまな社会問題や事象を分析する。『世界と私のA to Z』(講談社)など、著書も多数。Instagram @daniel_takedaa

Select & Text: Daniel Takeda Editor: Toru Mitani

※『VOGUE JAPAN』2025年7月号「美しさと対話する、読書時間」転載記事。

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