NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の第22回放送のラストで横浜流星演じる主人公の蔦重こと蔦屋重三郎に「そなたもひとつ仲間に加わらぬか」と、蝦夷地を天領にする計画を明かし、協力を求めた田沼意知(宮沢氷魚)。蔦重が意知の父・意次(渡辺謙)を訪ね、田沼屋敷で見かけた意知は爽やかな好青年という雰囲気だった。

 ところが、松前藩の領地である蝦夷地には多数の金銀銅山が眠っていて、オロシャが日本と交易したがっているという情報を得て、勢いで動こうとする父・意次を止めて自分がこの案件について調査すると意知は説得した。蝦夷地も長崎のように港を開き、金銀銅山を手に入れれば幕府は大きな利益を得るが、松前藩の領地を召し上げるためには、正当な理由が必要だ。

 いくら将軍・家治(眞島秀和)の信頼が厚いとはいえ、勢いで直感に従って動く父・意次は他人への配慮や細やかな根回しを省略しがちで、そのため敵を作りやすい。父である意次を尊敬し、敵の多い江戸城内での仕事の愚痴を聞いてあげたり、その苦労を労ったり、幕府のためのプロジェクトをサポートする素直で優秀な跡取り息子として育った意知。難しいミッションである蝦夷地の天領計画に自ら挑んだのだった。素敵なプリンスという甘い雰囲気に野心のような、凄みのような決意が滲むようになった。

 宮沢氷魚といえばNHKドラマ『しあわせは食べて寝て待て』で演じた穏やかで優しいけれど、どこかミステリアスな羽白司役を好演し、印象に残っている人も多いのではないだろうか。

 病気にかかったことで生活が一変したさとこ(桜井ユキ)が見つけた新しい住まいは、築45年の団地で、隣には大家さんの鈴(加賀まりこ)と訳あり料理番の羽白司が住んでいた。司は無職で家賃を払う代わりに家事を引き受け、体にいい美味しい食事を作ってくれる。老若男女みんなに親切だが、人との距離を適度に保ち、強引に踏み込んで来ることはない。団地に住むお年寄りが困っていると、家事を手伝ったり、部屋の修繕をしてくれるが、見返りも期待しないし、金銭も要求しない。感謝の気持ちに近所の商店街のクーポン券をもらったり、季節のフルーツをもらったりしているが、そのクーポン券やフルーツもさとこや鈴さんに分けている。

『しあわせは食べて寝て待て』になぜ視聴者は癒やされたのか 小松CPが明かす制作秘話

桜井ユキ主演のドラマ『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合)が早くも残り2話となった。本作は、水凪トリの同名漫画を原作に、膠原…

 薬膳に詳しい司が作る料理はさとこの心を温めたり、イライラや不安を抑えるように優しく満足感を与えてくれたりする。司のような人がそばにいてくれると、解毒効果もあって、不安や孤独感からも静かに解放されるように思われる。病気と向き合い、不安を抱えるさとこに無理やりポジティブな言葉を投げかけたり、元気にしようとお節介を焼くのではなく、凛とした佇まいながら、柔らかい雰囲気で接する司に宮沢氷魚がハマっていた。

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