さらに、より個人的でリアルな「心の旅」をのぞくことができるのが、『Be Not Afraid of Love』だ。著者のミミ・ジュは、虐待やトラウマを乗り越えながら、愛と恐れについて 自らを問い続ける。流行の「セルフラブ」論とは一線を画し、恐れを直視しながら「それでも愛を選ぶ」強さを、誠実に実直に語る言葉の数々は、読み手の心にも力強く寄り添う。

『オール・アバウト・ラブ:愛をめぐる13の試論』(2016・春風社)ベル・フックス 傷つき、立ち上がり、人を愛する。それまでのプロセスを13という多角的な試論で綴った一冊。

『オール・アバウト・ラブ:愛をめぐる13の試論』(2016・春風社)ベル・フックス 傷つき、立ち上がり、人を愛する。それまでのプロセスを13という多角的な試論で綴った一冊。

さらに社会的な広がりを持つ作品として挙げられるのが、『オール・アバウト・ラブ』だ。家族愛、友情、恋愛といった個別の愛だけでなく、社会そのものがいかに「愛に欠けているか」という問題を鋭く指摘する。愛とはただ受動的に求めるものではなく、能動的に育てていくもの。そんな真摯なメッセージが、時代や国境を超えて胸に迫る。私自身、人生そのものとの向き合い方にも大きな影響をあたえている。

DANIEL TAKEDA
竹田ダニエル。研究者、ジャーナリスト。シリコンバレー生まれ、Z世代ならではのデジタルネイティブな感覚、俯瞰の分析力、たくみなリズムの文体で、さまざまな社会問題や事象を分析する。『世界と私のA to Z』(講談社)など、著書も多数。Instagram @daniel_takedaa

Select & Text: Daniel Takeda Editor: Toru Mitani

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