
それに先駆けて開催されたMOVIE WALKER PRESS試写会で来場者にアンケートを実施したところ、「劇薬タイムリープ映画!邦画の新たなる青春映画の傑作」(10代・男性)や「映画を見た後1週間は楽しめる」(20代・女性)といった興奮冷めやらぬ声が多数寄せられ、満足度はなんと90%超!10代から60代まで幅広い年齢層の観客たちは、<タイムリープ×青春ミステリ>と銘打たれた本作のどのような部分に惹きつけられたのだろうか?そして、映画化にもしっかりと受け継がれた“史上最悪のパラドックス”になにを思ったのだろうか?
本稿では、誰もが驚くネタバレを回避しながら、アンケートで寄せられたコメントから本作の魅力へと迫っていきたい。
■10年前の自分はなぜ来ない?練りに練られた脚本に絶賛の声従来のタイムリープものとは一味も二味も違う!?斬新なストーリーに驚嘆する観客が続出 / [c]2025『リライト』製作委員会
2009年の夏、尾道。高校3年生の美雪(池田エライザ)のクラスに転校生の保彦(阿達慶)がやってくる。ふとしたきっかけで、保彦がある小説を読んでこの時代に憧れを抱きタイムリープしてきた未来人であると知った美雪。2人は秘密を分け合いながら、淡いひと夏の恋に落ちていく。そんななか、保彦からもらったタイムリープする薬で10年後の自分に会いに行った美雪は、彼がこの時代に来るきっかけとなった小説を美雪自身が書いたと、未来の自分から教えられる。そして元の時代へと帰っていく保彦。別れ際に、美雪は彼と過ごしたひと夏の経験を小説にすると約束を交わす。
まるで映画の結末までをまとめたようなあらすじに見えるが、実はこれ、冒頭20分で描かれる本作のプロローグ部分。本当の物語は10年後、大人になり、約束通り小説を書きあげ出版までこぎつけた美雪が、10年前からタイムリープしてくる自分に会うため尾道に帰ってくるところから始まる。しかし来るはずの時間になっても、10年前の美雪は現れない。あらゆる可能性を考える美雪だったが、彼女が書いた小説「少女は時を翔けた」をめぐって次々と問題が発生することとなる。
「王道のタイムリープものかと思いきや、展開が意外過ぎた」(40代・男性)
「タイムリープの青春ものだと思うよね、だまされてきて!」(10代・女性)
「いままでに観たことがないタイムリープミステリー」(20代・男性)
と、予想していたものとは違うルートへ進んでいく斬新なストーリーに多くの観客が驚愕しながら、本作にのめり込んでいったことを明かしている。
複数の登場人物たちの物語が絡み合い、現在と10年前、2つの時間軸が描かれながら、そこで起こるはずのなかった“パラドックス”が生じる。それだけ聞くと、きっと複雑な映画に違いないと警戒してしまうだろうが心配はご無用。「情報の『交通整理力』が非常にわかりやすく、こんがらがらない」(20代・男性)というコメントからもわかるように、“タイムリープ”の名手である上田誠の脚本力が遺憾なく発揮され、前半に張られた細かな伏線から、徐々に点在していく違和感、後半で一気にすべてが回収されるまで、とことん明快かつ爽快なのが本作の最大の持ち味だ。
「一秒足りとも目が離せない」「伏線に次ぐ伏線」…“史上最悪のパラドックス”が意味するものとは / [c]2025『リライト』製作委員会
「シンプルにストーリーがメチャクチャおもしろかった」(30代・男性)
「伏線が随所にあり、それが回収される瞬間が気持ちよかった」(20代・男性)
「すべてのシーンに意味があるなと感じたし、そこまでのストーリーやシナリオを作り上げたところがすばらしいなと思いました」(20代・女性)
「青春のキラキラしたストーリーとミステリアスなストーリーが絡み合い、先の読めない展開続きであっという間の127分でした!」(30代・女性)
■不器用で人間くさい、物語のキーパーソンに共感の声!
「中盤の展開が最高でした。前半のフリがしっかり効いていて見応えがありました」(40代・男性)というコメントにもあるように、多くの観客が特に印象的なシーンとして挙げたのは、保彦に関する“秘密”が明らかにされる中盤の同窓会シーンだ。中盤の同窓会シーンから、映画は急展開を迎える! / [c]2025『リライト』製作委員会
10年前の自分が現れないことに困惑した美雪だったが、さらに東京の出版社から、自分が書いたオリジナルの小説が“盗作”なのではと疑いをかけられ、出版できなくなってしまう。タイミングを同じくして、同級生の茂(倉悠貴)に説得された美雪は、クラスメイトが勢揃いする同窓会へと出席することになる。そしてその二次会のカラオケで、茂は誰もが予想だにしなかった事実を語り始めるのだ。
「世界の謎が明かされるカラオケのシーンからの転調がめちゃめちゃおもしろく、試写室の空気が変わったのを感じました」(20代・女性)
「作品にのめり込む瞬間」(30代・男性)
「『私だけの物語』のはずだったの意味がわかるときの楽しさがある」(30代・女性)
「表情や動きで衝撃の2文字が襲ってくるトリハダもののシーン」(10代・男性)
クラスメイトも同じ小説を書いていた?その真相は… / [c]2025『リライト』製作委員会
寄せられたコメントからも、その衝撃度合いが伝わってくることだろう。しかも、その“秘密”がショッキングなものではなく、とてつもなくユーモラスで微笑ましいものであることが魅力的。 「まさかの展開でおどろきつつも、おもしろくコミカルで笑いが止まらなかった」(10代・女性)、「『カメ止め』に似た高揚感と爆笑があった」(20代・男性)と、観る人によっては一気にこの映画が青春コメディに思えてくるほど。
この中盤のシーンから物語は急加速。10年前の美雪が現れなかった理由が明らかになるようなシンプルな“解答編”に留まることなく、次々と予想の斜め上をいく展開が畳みかけるように訪れていく。その怒涛の密度には、「2時間なのに韓ドラ16話くらいの情報量でした」(20代・女性)や、「何本もの物語を読んだ気持ちになりました」(30代・女性)と、この上ない満足感を味わう観客が続出。
【写真を見る】クラスのまとめ役の茂が大奮闘!すべてが明らかになる後半は、ちょっぴりコミカルで充実感たっぷり / [c]2025『リライト』製作委員会
その密度を実現させたのは、やはり主人公の美雪以外のクラスメイト全員が、まるで主人公になったような表情を見せていくことにほかならないだろう。その詳細は実際にスクリーンで確かめてほしいが、一つだけ言えるのは、それまで“美雪と保彦の物語”のモブキャラだったはずのクラスメイトたちの素顔や個性、クラス内でのポジションが丁寧に描かれることで、思わず誰かに自分を重ねてみたくなるということだ。
アンケートで「最もあなたに近いと感じたキャラクターは?」と質問したところ、観客から返ってきた答えは見事にバラバラ。もちろん物静かで受け身で、周囲との関係を大事にする主人公の美雪を選ぶ人が最も多かったが、次いで多かったのは物語のキーパーソンである茂。彼の献身的で性格な“仕事ぶり”に心打たれ、決して深掘りされないその内面に興味を持つ人が相次いだ。本作の登場人物のなかでMVPを選ぶとしたら、茂で満場一致だろう。
茂が物語のキーパーソンに! / [c]2025『リライト』製作委員会
「どうしても見捨てられなくて、自分の気持ちを他人のために押さえ込んでるところ。不器用だなあ」(30代・男)
「人気者ではないが多くの配慮、優しさを感じ、共感/尊敬できた」(30代・男)
「利他ベースのなかで少し自我が残る人間くささ」(20代・男性)
ほかにも「依存するような強い執着心と少し暗くも熱い心を持っているところ」(20代・男性)や「どこか歪んでいながらも人間らしさが残っている」(10代・女性)と、橋本愛演じる友恵を推す声や、「嫉妬に駆られる感じとか周りとの関わり方が一般的女子」(20代・女性)と鈴子(久保田紗友)を選んだり、「異様に間が悪く、ビミョーに噛み合わない部分が近く感じます」(30代・男性)と、大関れいか演じる亜由美を選ぶ人も。共感できるクラスメイトを1人見つけるだけで、青春ドラマ要素もミステリ要素も何倍も楽しめること間違いなしだ!
■間違いなく鑑賞後行きたくなる!?最高すぎる尾道のロケーション
本作で忘れてはいけない重要なポイントの一つが、青春タイムリープ映画の代名詞といえる、大林宣彦監督の名作『時をかける少女』(83)へのオマージュが満載だということ。物語の舞台が尾道で、未来からやってきた転校生、ラベンダーの香りと、劇中には『時かけ』を知っている人ならピンとくるであろう要素が散りばめられている。
数々の名作が生まれた尾道で、オールロケを敢行! / [c]2025『リライト』製作委員会
原作は静岡県が舞台になっていたが、映画化に当たって“尾道の物語”にすることが決められ、実際に夏の尾道でオールロケが敢行された。『時かけ』をはじめ、これまで数々の日本映画の名作が生まれた尾道の地は、本作のもう一つの主人公といえよう。「奥行きや光や風が効果的だった」(40代・男性)、「尾道にロケ地めぐりに行きたくなる作品です!!」(30代・女性)と、どこを切り取っても絵になる尾道の美しい景観に魅了される観客も多数。
また、美雪たちの担任教師役として尾美としのり、美雪の母親役として石田ひかりが出演している点も、大林作品への直接的なオマージュとして見逃せない。実は原作小説は、刊行時に“バッドエンド版「時をかける少女」”とも呼ばれた作品。こうして映画になった『リライト』と大林版『時かけ』がシンクロすることは必然だったのかもしれない。
風光明媚で懐かしさも共存!尾道を聖地にした新たな青春映画が誕生 / [c]2025『リライト』製作委員会
「大林版『時をかける少女』への完璧なアンサー」(20代・男性)
「尾道市のロケーションと、尾美としのり、石田ひかりというキャスティングが良かった」(30代・男性)
「尾道3部作を愛する者として、こんなにも進化した形で『次』が観れてうれしかったです」(30代・女性)
■物語の結末を知った時、あなたのリピート鑑賞が確定する!
1980〜90年代に青春を過ごした世代の懐かしさを刺激する要素は、大林作品へのオマージュだけじゃない。高校時代のシーンで合唱の課題曲として歌い、同窓会の二次会でクラスみんなが歌うのは、1996年にヒットし現在も歌い継がれるスピッツの名曲「チェリー」。どこか懐かしい尾道のロケーションと、“あのころ”を思い出させてくれる名曲。これらが融合した本作は、まさに“時をかける映画”といっても過言ではない。
誰もが“あのころ”を思い出さずにいられない、青春群像が心に染みる / [c]2025『リライト』製作委員会
さらにエンドロールを彩るのは、松居監督からオファーを受けた福岡出身のラッパーRin音が歌う「scenario」。「主題歌の一言一言がとても意味ある、とてもしみた作品」(30代・男性)、「Rin音の音楽歌詞までストーリーに合っててすごくよかった!」(30代・女性)と絶賛の声が寄せられたように、作品世界を見事に表現した楽曲でラストシーンの後もしばらく余韻に浸れる、いや、浸りたい気持ちが止められなくなるはずだ。
「ラストまで観たいま、この映画をもう一度観たいです」(40代・女性)
「普段は同じ映画を複数回観に行くことはなく、『別の映画を観に行けるのに機会損失では?』と思っているのですが、この作品はもう一度観ようと思います」(20代・男性)
「伏線が回収されていく感覚が爽快で、考えながら観るのが非常に楽しかったです。阿達くんの作品という理由で観ましたが、キャスト関係なく出会えてよかった作品だと思いました」(20代・女性)
『リライト』は6月13日(金)より公開! / [c]2025『リライト』製作委員会
結末を知っていても何度も観たくなってしまうのは、巧妙に散りばめられた伏線を冒頭シーンから一つずつ確かめたいということもあるだろうが、それ以上に、あらゆる登場人物の立場から様々な視点で、まったく別の映画として楽しむことができるからだろう。観るたびに、前に観た時の記憶を書き換えながら、描かれていく魅力的な青春群像の一員になれる。是非とも劇場に何度も足を運び、タイムリープ×青春の新境地を目撃しよう!
文/久保田 和馬