IMG_5707コンセプトブック

■宿泊料は「あなたの大切な物にまつわる物語」
日鉄興和不動産(以下、同社)は6月1日、同社初の木造賃貸マンション「リビオメゾン大岡山」(2025年2月21日竣工、3月16日入居開始)の1室に、無料宿泊施設「BOOK HOTEL 物々語」(以下、同施設)を2年間の期間限定でオープンする。それに先立ち、報道関係者向け内覧会が開催された。

同施設は、同社のFutureStyle総研(前身:リビオライフデザイン総研)が実施した「ONE LAB・CASE南砂町」に続く取り組みの第2弾で、テーマは「頑張らないサステナブル」。

同社はこれまでも事業を通じサステナブルな住まいを提供してきたが、顧客のサステナブルな行動変容にもつなげていきたいとの思いから、本企画をスタート。宿泊料は無料だが、代わりに宿泊者の「大切だったけれど手放す時が来たもの」について、部屋に置かれたノートに書くことが求められる。

250302_GA_0037_3000リビオメゾン大岡山外観 IMG_5702ノートには、宿泊体験に参加した「誰かの物語」がしたためられていた

企画を進めるにあたり着目したのが中古品の再利用。室内には10名の作家が寄贈した中古品と、それにまつわる物語を綴った小冊子ZINE(個人や少人数で自主的に制作する、自由に表現できる冊子。Magazineが由来)が展示されている。

また、ベッドやテーブル、ライトなどの備品は以前モデルルームで使用したものを再利用するなど、部屋全体が中古品で構成されている。

IMG_5705このベッドも IMG_5704このデスクも再利用品 IMG_5703寄贈品の近くにはそれぞれの作家のZINEが置かれている

同施設を企画した同社住宅事業本部 開発推進部 開発推進第一グループ兼カスタマーリレーション室リビオカスタマーサービスグループの山本瑞生氏は「物を大切にすること、時が来たら手放すということも一つのサステナブルだと思いますし、こういう体験を誰かに話すこともまたサステナブルなアクションにつながると思います。そういう形で、一般の方々の行動変容に少しでも寄与するような施設になれたらと思っています」と意気込みを語った。

山本瑞生氏山本瑞生氏

■2年後は賃貸物件として「再利用」

多くの人に体験してほしいとの趣旨から、宿泊は単身で一泊限りの利用とし、連泊ならびに複数回利用は不可。予約は公式サイトからとなるが、事前に30分ほどのオンライン面談を行い、コンセプトやルールに同意した人のみに利用してもらう仕組みとなっている。

宿泊が決まった利用者には、面談時にエントランスならびに部屋へ入るためのワンタイムパスワードが伝えられる。

運営の2年間を経たのちは修繕を行い賃貸物件として貸し出すこととしているが、山本氏は「どちらかというと賃借希望者向けの施設というよりは、ZINEを読みたいとか、施設のコンセプトに興味・共感を持ってくださった方々をターゲットにしている」と話す。

不動産投資の観点から見れば、無料宿泊の民泊経営やホテル経営は厳しいと思うが、このようなコンセプチュアルな宿泊施設は、コアなターゲットに刺さるものとなる予感がする。

◼ 「BOOK HOTEL 物々語」概要
所在地 :東京都目黒区大岡山1丁目30-3
交 通  :東急目黒線「大岡山」駅 徒歩10分、東急東横線「都立大学」駅 徒歩12分
運 営  :日鉄興和不動産株式会社
予約開始:2025年5月9日
オープン:2025年6月1日
※「リビオメゾン大岡山」施設内に一部使用できない設備あり。

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執筆:関岡久美子(せきおかくみこ)


関岡久美子


■ 主な経歴

ライター/編集者/WEB プランナー/WEB ディレクター
住宅情報誌制作、雑誌・書籍編集、WEB プランナー、 WEB プロデューサーを経て現職。長年にわたる紙媒体、WEB 媒体での知見と実績から、現在は離島・地方創生に関わる一般社団法人のメインライター、 某作家の広報、大手カタログギフト季刊特集ページの企画・編集・ライティングなどに従事。インタビュー、座談会、講演会のまとめやレポートも得意。仕事のモットーは三方良し。有限会社ヘーヴィーズ所属。

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