新生活がはじまる春クールといえば、お仕事ドラマ、そして、学園ドラマだ。一時は「絶滅危惧種」ともいわれ、下火になっていたものの、若手俳優の層がさらに厚くなったことも相まって、ジャンル自体もふたたび輝きを取り戻しつつある。

 2025年春クールでは、広瀬アリス演じる無気力な高校教師が“説教”で生徒たちと向き合う『なんで私が神説教』(日本テレビ系)が放送中。『新幹線大爆破』(Netflix)の演技が高く評価されている豊嶋花をはじめ、『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系)の水沢林太郎、『全領域異常解決室』(フジテレビ系)や『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)など話題作への出演がつづく清乃あさ姫、朝ドラや大河ドラマでヒロインの幼少期を演じ、『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)などに出演の新井美羽、映画『ゴールド・ボーイ』で岡田将生と心理戦を繰り広げた羽村仁成らが作品を牽引している。

 深夜にひっそりと放送中の『霧尾ファンクラブ』(中京テレビ・日本テレビ系)は、ドラマファンからじわじわと人気を集めている新感覚の学園ドラマだ。『あの子の子ども』(カンテレ・フジテレビ系)の茅島みずきと『3年C組は不倫してます。』(日本テレビ系)の莉子が主演を務めており、Z世代の俳優たちを中心に据えたキャスティングも魅力の一つだ。セカンドシーズンに突入した夜ドラ『ワタシってサバサバしてるから2』(NHK総合)では、自称・サバサバ女こと網浜さん(丸山礼)が高校教師に! 「高校教師編」には、『先生さようなら』(日本テレビ系)のヒロイン役でドラマデビューを飾った林芽亜里、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)など役者としての活躍も目覚ましい寺田心が物語を彩る。2025年の学園ドラマといえば、蒔田彩珠や髙石あかり、奥平大兼らの好演が光った『御上先生』(TBS系)も印象深い。

『ごくせん』『野ブタ。』 “スターの登竜門”だった平成の名作学園ドラマ

『ごくせん』Blu-rayは“あの頃”に戻れる逆玉手箱 亀仁論争の記憶や人気俳優の若き日が蘇る

「今日からこのクラスの担任になった、山口久美子です。担当は数学。あだ名はヤンクミ。ちなみに独身、よろしくね!」
 未だにこの台…

 思えば、学園ドラマは常に“スターの登竜門”だった。たとえば、仲間由紀恵演じる熱血教師・ヤンクミと、問題児たちの成長を描いた『ごくせん』(日本テレビ系)は、2002年に放送された第1シリーズが大ヒット。2005年、2008年とシリーズを重ね、スペシャルドラマや劇場版にも発展するなど、まさに“平成の学園ドラマ”の代表作となった。『ごくせん』の大きな功績は、毎シリーズごとに当時の若手俳優たちをメインに据え、その多くがのちに第一線で活躍する存在へと飛躍していったことだ。第1シリーズでは松本潤、小栗旬。第2シリーズでは亀梨和也、赤西仁、小池徹平。第3シリーズでは三浦春馬、三浦翔平、Hey! Say! JUMPの髙木雄也、さらにWEST.の中間淳太と桐山照史も出演している。

 『ごくせん』と同時期に放送された学園ドラマといえば、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)を忘れてはならない。当時からトップアイドルだった亀梨和也と山下智久が、クラスのいじめられっ子を“プロデュース”していく物語は、脚本を手がけた木皿泉のまなざしが加わったことで、王道の青春ストーリーでありながら、10代が抱える孤独やアイデンティティの葛藤といった繊細で複雑なテーマにも深く切り込んだ。堀北真希や戸田恵梨香らメインキャストのイメージがいまも根強く残っているが、大東駿介や若葉竜也もかなり重要な役どころを演じている。

 『野ブタ。』で一躍注目を集めた堀北の代表作として挙げられるのが、中条比紗也の大ヒット少女漫画を実写化した『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系)。女子が男装して男子校に潜入するという突飛な設定もさることながら、“イケメン”という要素に全力で振り切った本作は、令和になったいまも続編を望む声が絶えない。2007年に放送された第1シリーズでは、ヒロインに一途な思いを寄せる中津秀一役を演じた生田斗真がブレイク。岡田将生、溝端淳平、高橋光臣、鈴木亮平など、のちの活躍を予感させる顔ぶれも揃っていた。その後2011年には、前田敦子を主演に迎えた第2シリーズが放送され、中村蒼、桐山漣、間宮祥太朗、前田公輝らが出演している。

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