「Netflix」や「Hulu」で、あてもなく何か見るものを検索する――誰にでも経験があるだろう。結果的に、1話選んで見終わるくらいの時間を作品選びに費やしてしまう。

 でもご安心を。AIが助けてくれるようになるのだ。

 AIに対する疲れや根強い警戒心はさておき、「Gemini」の「Google TV」向け新機能に興奮している。何を見ればいいかという問題を解決するかもしれないからだ。

 米国時間5月13日の「Android 16」の発表では、Geminiをテレビに呼び出して最新のNBAの試合を解説する、主要ニュースを要約するといった機能も紹介された。例えば、小学3年生に太陽系を説明してと頼むと、関連する一連のYouTube動画が次々に表示される。

 しかし何よりも私は、「次に何を一気見するか」という些細な悩みをGeminiが解決するかもしれないことに興奮している。Geminiは2025年後半、同社のスマートTVソフトウェアであるGoogle TVで利用可能になる。

 Googleは、カリフォルニア州マウンテンビューにある本社にて、この機能の初期デモをCNETに披露した。Geminiに対して、自分の好みに基づいたお勧めの映画やTV番組、子どもの年齢に適したアクション映画などをお願いすることができた。

 「『ミッション・インポッシブル』で一番面白いのはどれ?」のような旬の質問もOKだ。(Geminiは非常に丁寧で、デモの際は「最終的には個人の好みによります」といった無難な答えを返しつつ、いくつか候補を提案してくれた。)

 Googleのこの新機能は、NetflixがiOS向けにベータ版として提供する、非常に良く似ているAI検索機能に続く形で登場する。NetflixのCTOであるElizabeth Stone氏は、記者向けイベントで「少し怖いけど怖すぎず、やや笑えるけどおかしすぎないものがいい」のように、会話調で検索できると紹介した。Netflixはこの機能を、OpenAIとの提携により開発している。(注:CNETの親会社であるZiff Davisは4月、AIシステムのトレーニングと運用で、OpenAIが同社の著作権を侵害したとして訴訟を起こしている。)

 最近のテクノロジー業界は、あらゆる問題をAIで解決しようとしている。GoogleやNetflixのような企業が最適なエンタメを見つけるためにAIを活用するのは当然の流れだ。Netflix、Hulu、「Disney Plus」などのストリーミングサービスは、既にAIアルゴリズムで視聴履歴を分析し、おすすめを提示している。会話型検索機能はその次となる、当然の進化といえるだろう。

 とはいえ、新しくて目立つものが定着するとは限らない。2023年にTubiは、「ChatGPT」を搭載したAI検索ツール「Rabbit AI」を発表した。しかし、あまり利用者に受け入れられなかったようで、最終的に廃止された。多くの私たちにとって、次から次へと登場するさまざまなAI機能を把握して関心を持ち続けることは、かなり難しいことなのだろう。

 Googleは、スマホ、車、スマートウォッチ、TVと、あらゆる場所にGeminiを展開する戦略で、メッセージの文面から次に観る映画まで、常に寄り添うAIアシスタントにしようとしている。まるで人間の友達のようで、あまり深く考えなければそこまで不気味なことではない。

 つまり、日に日に存在感を増すAIへの大きな不安を和らげる最良の方法は、“AIの助けを借りて”気が紛れる映画やテレビ番組を観て楽しむこと、といえそうだ。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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