2025年5月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
知的
難しい
ドキドキ
米作家ウィリアム・バロウズの自伝的小説を映画化。バロウズについてはビートジェネレーションの代表的作家でジャンキー、妻を射殺した、といった知識はあるものの作品は読んだことがない。主人公はほぼバロウズ本人を置き換えたものなので観る前にウィキペディアなどで簡単に調べておいた方がいい。さもないと、働かないゲイでジャンキーなエロ中年親父の映画は一体何?という印象になりかねない。
1950年代のメキシコシティ。暇を持て余す米国人駐在員のリー(ダニエル・クレイブ)は行きつけのバーで美形青年のユージーン(ドリュー・スターキー)に一目惚れ。勇気を出して話しかけ、体の関係に発展するが、時によそよそしい態度を取ったりと気まぐれなユージーンに渇望を募らせていく。
前半はこうした恋の駆け引きに終始するため正直退屈だ。
リーは関係を深めたいのと、ある媚薬をもとめてユージーンを南米の旅に誘う。
ここからの後半は一転、南米が舞台の幻想的なタッチに変わり、冒険映画のようだ。
薬物中毒のリーが見る幻覚とジャングルを舞台とした展開は夢と現実の境界線を曖昧にし、官能的ですらある。
リーはユージーンと体だけではなく心の一体感を求めるが、確信がもてず心は満たされない。その不安や苦悩をドラッグで散らしているようで、その姿は痛々しくもある。
チネチッタで撮影したというメキシコシティのノスタルジックな街並みや南米の幻想的なジャングル、VFXを使ったイメージなど映画的創造に満ちている。
ニルヴァーナやニューオーダー、プリンスなど映画の時代背景とは異なる挿入歌の選曲もセンスが光り、ルカ・グァダニーノ監督の映像作品としての完成度は高い。
個人的にゲイのラブシーンが生理的に苦手なので点数は若干低め。
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