断捨離をするときは何に気をつけるべきか。精神科医で禅僧の川野泰周さんは「物を捨てることには高揚感があるため、極端に物を減らし、勢いにまかせて人間関係までもスパッと切り捨てる人がいる。しかしこうした人はミニマリストという言葉を使い、『人と向き合うことをしない選択』をして孤独感を強めているだけだ」という――。


※本稿は、川野泰周『半分、減らす。』(三笠書房)の一部を再編集したものです。


スマートフォンを操作してゴミ箱のアイコンをタップする人

写真=iStock.com/SvetaZi

※写真はイメージです



実は危険な「捨てる快感」

物が増え、「片づけられない人たち」が増えていることを背景に、2000〜2010年代にかけて、「断捨離」が一大ブームとなりました。


この本も、一見そうした断捨離術を紹介する本なので、矛盾するようですが、あえて警鐘を鳴らしたいことがあります。それは、


「断捨離には、いきすぎてしまう危険がある」


ということです。


物を買うときって、ちょっと気持ちが高ぶりますよね。欲しい物が手に入れば、誰だってうれしいもの。


でも実は、物を捨てるときも気持ちが高ぶることを、知っておられるでしょうか?


バンバン物を買うのも、バンバン物を捨てるのも、同じくらい気持ちが盛り上がることがあるのです。


これにはちょっと注意が必要です。


「中道の精神」を尊ぶ仏教的観点に立つと、「高揚感」に引きこまれるようにして行動してしまうことは、たしなめられるべきこととされているのです。


なぜなら、一時の気持ちの盛り上がりにまかせて行なったことは、だいたいあとで悔やむことになってしまうからです。


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