グラビアやタレントとして活躍してきたMEGUMIさん。

2023年に出版した「キレイはこれでつくれます」がメガヒットを叩き出したことをきっかけに美容の第一人者として日本中の女性の憧れの的になっています。

女優や映画プロデューサーとしても活躍の幅を広げている彼女が昨年立ち上げた、「JAPAN NIGHT in Cannes」は、世界最高峰の映画祭として知られるカンヌ国際映画祭の会期中に、日本の映画と文化を世界に届ける大規模なパーティーとして映画業界において大きなニュースとなりました。

そして今年、5月16日に「JAPAN NIGHT」を引っ提げて再びカンヌの地を踏むMEGUMIさんに、その原動力の源を伺いました。

FORZA:MEGUMIさんは2001年に20歳でデビュー、グラビアやTVなどで活躍されたあと、女優としてドラマや映画にご出演されています。近年では映画のプロデュースやカンヌ国際映画祭で日本映画と日本文化を世界に発信するイベント「JAPAN NIGHT」を立ち上げられたりと多岐にわたってご活躍されています。どういった経緯で活躍の幅を広げていかれたのでしょうか。

MEGUMI:おっしゃる通り、グラビアでデビューしてバラエティー番組などに出させていただいていましたが、27歳で結婚しその後、妊娠とともに「今までの活動とは違う活動をしたいな」って思うようになって。時間をかけて「今後自分は何がしたいんだろう」って考えた時に、映画にたどり着いたんです。

地元岡山にいる頃から映画は大好きだったので、上京したての時も友達もいない中で色々な映画を観ていました。特に『私立探偵 濱マイク』が好きで何度も観ていました。おしゃれな雰囲気と、ストーリーの強さに感銘を受けたんです。その時に「自分がこの枠の中に入れたら素敵だろうな」って初めて思って。

ただ、グラビアやバラエティーの世界って当時、映画と一番遠いというか、もう少し今よりも棲み分けされていたんです。だから、「映画に出たい」って思うこと自体、おこがましいなって誰にも言えなくて…。

「お芝居をやったり、映画に出てみたかった」っていう気持ち、それは心のどこかにずっとあったんですけど、箱に入れてしまっていた。妊娠を機に自分と向き合ったときに、その想いを箱からもう一度取り出してみようと思ったんです。

それで「女優さんになってみたい」と事務所に伝えました。でも芝居なんて未経験だし、映画も人並みにしか観られていなかったので、必死で勉強しました。映画の感想をノートに書いて言語化したり、アクティングコーチも二人つけていただいて、台本の読み方や、感情の膨らませ方などのメソッドを習ったんですね。

でも、女優になりたいと勉強を始めてからも全く仕事が来ず、10年間ほど時間が流れていきました。時間ばかり過ぎていくことに対して焦りや不安などが募って本当に苦しかった。そんな中、白石和彌監督の『孤狼の血』(2018)という作品に呼んでいただいて。出番は1分くらいの役だったのですが、その1分のために全力で、もう命がけで準備に準備を重ねて万全の体制で挑みました。そうしたら監督が「お、芝居できるじゃん」って言ってくださり、その後「台風家族」という作品などにも呼んでくださったんです。

そして2019年、映画『台風家族』と『ひとよ』の演技を評価していただき、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞すると、世間も私のことを一人の俳優として見てくれるようになりました

FORZA:現在はバルセロナにも拠点を持たれていますが、どういった経緯でバルセロナにたどり着いたのでしょうか。

MEGUMI: 2年ほど前、本当に色々なことに疲れ果てていたとき、ピラティスの先生と友人の二人から「バルセロナは女を癒してくれる国よ」ということを立て続けに聞いたんですね。

「これって行けということなんだろうな」と思って実際に行ってみたのが最初です。街の活気や空気感がすごく肌に合ってどんどん元気が出てきたし、何よりバルセロナの大人の女性たちがのびのびと人生を謳歌していて。こういう人生後半戦、こういう感覚って、すごく素敵に輝いて見えたんです。

そこで「私もやり直せるかもしれないな」って思えた。バルセロナは人生の転換期をくれた場所です。それまでも海外にはそこそこ行っていましたが、生まれて初めて感じた特別な感覚だったので、その後も刺激を得るために度々足を運んでいました。

ご縁があるのか、息子の学校も偶然スペインに決まったり、カンヌやイタリアでの仕事もあるし、ビザが取りやすいことも手伝って、バルセロナに拠点を構えることにしたんです。

ORZA:インスタグラムなどを見ていても、バルセロナにいるときのMEGUMIさんはとても幸せそうです。

MEGUMI:そうですね。日本にいると考える暇もないほどに仕事しかしていないからやっぱり良くない。バルセロナではたまにオンラインで仕事をしながらも、外を散歩したりと、心身を休めるようにしています。心身が生き返る感覚。そういう時間も必要だなと、バルセロナが教えてくれましたね。

FORZA:スペインとの共同作品も企画中だと伺っていますが、現在作っている「FUJIKO」もしかり、その共作も女性をテーマにした作品ですよね。

MEGUMI:そうですね、女性に元気や勇気を感じてもらえるような作品を作っていきたいというのは根底にあります。

それは“日本人女性の自己肯定感が世界で最下位”だというニュースでした。びっくりしたのと同時に少し理解もできるな、と。女の人が何かをやろうとすると、やっぱり色々と大変ですし、子育てをしながらキャリアを築くのも容易ではないなって、すごく理解できるところがあって。あと当時女性の自殺者も非常に多かったんですよ。それもショックでした。

関連記事「MEGUMIがバルセロナで感じた人生の転機」と映画への意地に続く。

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