U2ボノの回顧録が原作、『Bono: Stories of Surrender (原題)』写真:Apple TV+

世界的ロックバンドU2のボーカル、ボノの回顧録を原案とした舞台公演を映像化した『Bono: Stories of Surrender (原題)』が、カンヌ映画祭で初上映された。監督は『ブロンド』などで知られるアンドリュー・ドミニク。撮影は『Mank/マンク』でアカデミー賞を受賞したエリック・メッサーシュミットが担当し、美しい白黒映像で構成されている。

作品は、2023年にニューヨークのビーコン・シアターで行われた公演を収録。5月30日からApple TV+で配信される予定だ。

ボノが描く書籍ツアーの進化形

U2ボノは、自伝『Surrender: 40 Songs, One Story』の出版に際し、一般的な書籍ツアーではなく演劇形式の劇場ツアーを展開した。朗読と音楽を組み合わせた本公演では、U2の名曲がジャックナイフ・リーにより新たにアレンジされ、チェリストのケイト・エリス、ハーピストのジェンマ・ドハーティと共演している。

俳優のような語りと自伝的物語

この映画でU2ボノは、音楽家というより俳優としての表現力を発揮している。詩の朗読のようなリズムと抑揚を交えつつ、観客に向かって「これは小柄なロックスターの大げさな物語だ」と語りかける。

彼は14歳で母親を亡くした悲しみ、父との複雑な関係、そして長年の妻アリソンとの結婚生活について語る。また、学生時代の仲間と結成したU2との歩みも丁寧に振り返る。

笑いと音楽が織りなす舞台

本作にはユーモラスな逸話も盛り込まれている。パヴァロッティが突然楽屋に現れてチャリティ出演を依頼した話や、王室に否定的だった父親がダイアナ妃と対面した際の変化などが語られる。

“Sunday Bloody Sunday” “Where the Streets Have No Name” “Vertigo” など、U2の代表曲も美しいアレンジで披露されている。言葉が多い本作において、音楽が心地よいバランスを生み出している。

魅力的な映像演出とボノの新たな一面

キネティックな撮影と緻密な編集によって、舞台に映画ならではの躍動感が加わっている。U2ボノの演出力、語りの技術、そして人生への深いまなざしが融合し、強い没入感を生んでいる。

※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら

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