ザ・ウィークエンド主演映画『Hurry Up Tomorrow』レビュー:自己陶酔が過ぎる感傷劇

『Hurry Up Tomorrow』では、スーパースターの華やかな表舞台とは裏腹に、孤独や苦悩が繰り返し描かれる。劇中、テスファイは幾度となく泣き、その姿は水分補給を心配してしまうほど。物語の後半には、テスファイがベッドに縛り付けられ、ジェナ・オルテガ演じる狂気じみたファンが彼の楽曲に合わせて踊りながら、歌詞の意味を解説する場面もある。口を塞がれたテスファイは、ただそれを見つめることしかできない。

監督はトレイ・エドワード・シュルツ(『WAVES/ウェイブス』『イット・カムズ・アット・ナイト』)。彼の得意とする不穏なムードは健在だが、今回はその演出がやや過剰に感じられる。オープニングクレジットだけでも30分近く続き、その前にはストロボ効果の警告や短編ミュージックビデオが挿入される。さらに、同名のアルバムのプロモーション映像まで加わり、映画としてのテンポが損なわれている。

散漫なストーリーと象徴主義の過剰さ

もう一人の主要キャラクター、アニマ(ジェナ・オルテガ)は、物語の中盤で登場する。彼女は冬の荒涼とした風景の中で一軒家を燃やすシーンで現れ、その後ザ・ウィークエンドのコンサートに現れる。二人は夜の街で楽しい時間を過ごすが、次第にアニマの行動は不穏さを増していく。

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