書店が激減し、行政による支援を求める声が上がる中、解決すべき課題の一つとして挙げられるのが公共図書館や官公庁の購入条件である。入札によって値引きを求められることが多い。書店は出版社と再販売価格維持契約を結び、一般の消費者には定価で販売するが、官公庁などに対しては例外となっているからである。
筆者が過去に取材した中では、定価の15%引きで図書館に納入しているという書店があった。一般的に書店の粗利益(マージン)は22%前後だから、納入の手間ひまを考えると赤字だ。書店からは定価購入を求める声が以前から強かった。
図書館への値引きはどのくらい行われているのだろう。やや古いデータだが、文教大学の大場博幸教授(現在は日本大学教授)らが2016年に実施した調査によると、割引なしは全体の22.9%、割引はないが書籍のフィルムコーティングなど装備があるのが41.9%。1〜20%の値引きがあり、装備もありというのが17.1%。20%以上の値引き、装備もありという回答も0.1%ある。
残り514文字(全文952文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める
WACOCA: People, Life, Style.