BookTopicks

6月6日から公開予定の映画『ぶぶ漬けどうどす』。京都を舞台に巻き起こる大騒動を、シニカルに描いたコメディ作品だ。変わったタイトルだが、「ぶぶ漬け」は京都でお茶漬けを指している。どんな作品なのか、詳しく見てみよう。

●「京都人」と「ヨソさん」である主人公が繰り広げる攻防

主人公の澁澤まどかを演じるのは、映画『嗤う蟲』や『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』でも主演を務めるなど、近年大活躍中の女優・深川麻衣。京都が大好きすぎるが故に、京都の“いちばんの理解者”になろうと暴走してしまうという役どころを見事に演じている。

まどかは京都の老舗扇子店の長男と結婚し、東京から京都へやってきたフリーライターという設定。数百年の歴史を誇る老舗の暮らしぶりをコミックエッセイにしようと、義実家や街の女将さんたちへの取材を始めるがなかなかうまくいかない。というのも、京都府民から見たまどかは「ヨソさん」であり、「生粋の京都人」の本音と建前を使い分ける文化を甘く見ていたせいで、気づいたころには女将さんたちの怒りを買ってしまっていたからだ。

「京都人」と「ヨソさん」である主人公の攻防も見どころではあるが、本作では生粋の京都人さえも“京都を愛すれば愛するほど「京都」という奥深い街に翻弄されていく”さまも描かれている。

ちなみに「ぶぶ漬け、どうどす?」と勧められた時は「そろそろお帰りください」という意味だ、という話を聞くことがあるが、実際に現地で言うことはないという。しかし京都には、本音を隠して遠まわしに自分の気持ちを伝える「いけず」文化がある。何気ない会話でも、言葉の裏に隠された意図を考えた方が良いことは確かだろう。

京都を愛する映画の主人公・まどかとは真逆で、大ベストセラーとなった書籍『京都ぎらい』の著者による迷著が、『関西人の正体<増補版>』だ。同書では、京都人や独特の文化だけではなく、大阪や関西への典型的な偏見や固定観念が生まれた歴史的背景を紐解いている。“関西人の正体”を知ったうえで、映画『ぶぶ漬けどうどす』を観てみるのも面白いかもしれない。

towerbooks

セブン-イレブン受け取りサービス

WACOCA: People, Life, Style.

Pin