食のスペシャリスト&グルメに精通する識者で構成される「FRaU Foodies」が、今イチオシの料理やスイーツなどをお届けします。今回は、音楽界のグルメ番長、ホフディランの小宮山雄飛さんが登場。恵比寿に出店を果たした東京・荻窪にあるラーメンの名店をレコメンドいただきました。
変わらないために変わり続ける、約75年の歴史を誇るラーメン店
「荻窪のラーメン店『春木屋』がなんと恵比寿にオープンしました!」
「春木屋」は、戦後間もない昭和24(1949)年に荻窪で屋台のラーメン店として創業。歴史のあるお店だけに、雄飛さんも何度も店を訪れています。
「学生時代、まだいわゆるラーメンブームが起こる前、東京ラーメンの代表といえば『春木屋』でした。行列必須で、おじさんたちが黙々とラーメンを食べている様子は、当時10代だった僕には若干近寄りがたいほどのオーラがありました。おそらく東京のラーメン好きは、それぞれの春木屋の思い出があるんじゃないでしょうか」
今では本店の荻窪に加えて、吉祥寺、ラゾーナ川崎にも店舗を展開。そして、2025年4月17日に恵比寿にも開店しました。同じように春木屋の味を楽しめるのでしょうか。
「節が効いたスープに表面を覆う熱々のラード、ゴワッとした力強い麺、これぞ春木屋の味。変わらない味のために、日々変わり続けているという春木屋マインドをしっかり味わえました」
約75年の歴史の中で、お客さんからは見えない“少しずつ”の創意と努力を繰り返してきたといいます。味の根幹は変えず、麺に使う小麦やスープの出汁、さらにはその日の気候に合わせた作り方まで、こだわりは細部にまで至ります。
写真提供/春木屋
「いつも変わらず美味しい」と満足してもらえるように「お客様の舌より常に一歩先に行く」という信念をもって日々ラーメン作りに励んでいます。これもまた、雄飛さんがいう“春木屋マインド”のひとつといえるでしょう。
中華そば 950円(税込) 写真提供/春木屋
毎日仕込むスープは、煮干しと削り節に数種類の野菜や鶏ガラなどの素材をふんだんに使って煮込んだ魚介出汁。それに、オリジナルブレンドのカエシを加えて、旨味と香りの詰まった和の風味に仕上げています。
写真提供/春木屋
そのスープによく絡む麺は、数種類の小麦粉とかん水から練り上げたもの。練り上がった麺を手もみし、太さとコシを確かめながら一本一本丁寧に仕上げていきます。これぞ長く受け継がれている春木屋独自の手法。独特の食感と味の奥行きを生み出しています。
また、毎朝天気や気候・湿度に合わせて水と小麦粉の量を調整しているため、その日によって太さが違うこともあるそう。
手間暇をかけてできあがった「中華そば」は、まずそのまま食べ、そのあと特製胡椒を振りかけ、最後は酢を入れるべし。それがお店オススメの食べ方です。
わんたん麺 1350円(税込)
ちなみに、人気No.1は「わんたん麺」。中華そばにつるっとしたワンタンがたっぷりのっています。
WACOCA: People, Life, Style.