プロデューサー・須藤孝太郎さんに聞いた、消費しないアニメーション化の形。

街角でキャラが描かれた車を見かけ、ひらめいた!
夢の始まりは2020年。プロデューサーの須藤孝太郎さんが街角でギンビスの車を見かけたことでした。

「車には『たべっ子どうぶつ』のキャラクターが描かれていて、見た瞬間に懐かしい気持ちになったんです。その頃はちょうどアニメ化できるキャラクターを探しているときで、〈たべっ子どうぶつ〉はまだ映像化されていないし、さらに声もついていないと知り、これはぜひやりたいと、ギンビスさんにすぐ連絡しました」

するとギンビスも〈たべっ子どうぶつ〉を映像化したいと考えていたそうで、タイミングよく話がまとまり、アニメ化が決定。でももともとのどうぶつたちは、性格も性別もストーリーもない。どうやって彼らに息を吹き込んだのでしょうか?

「ギンビスさんは、創業以来大事にしている“お菓子に夢を!”という理念を崩さなければ、自由にやってくれていい、とおっしゃってくださって、新しいキャラクターを加えることも許可してくれました。その上で、せっかく90分もあるわけですから、みんなが想像もしてない大冒険モノにしたい、お菓子はみんなに笑顔を届けるものだからどうぶつたちをスーパーアイドルにしよう、でもゆるふわな世界ではつまらないからバトルシーンも入れ、大人に響くどうぶつドラマも盛り込もう…などと打ち合わせをしつつ、世界観を設定。お菓子の映画なので、ビスケットを登場させるのも鉄則でした。並行して脚本の池田テツヒロさんにどうぶつたちの性格を考えてもらい、それを元に制作スタジオに3DCGでいろんな表情や動きをとにかくたくさん作ってもらって…。ひとつずつ作業を積むたびに〈たべっ子どうぶつ〉の唯一無二の魅力に気付かされ、そこをきちんと伝えよう…と奮起する。その繰り返しでした」

映画は後半になるに従って、大人の心に響くストーリー展開に。

「楽しく切なく、そしてハッピーな映画になったと思います。観終わったらお菓子を片手に、みんなで感想を語り合ってほしいですね。そしてこの先、日本のお菓子のキャラの映画がもっと作られたら嬉しいです」

Profile

須藤孝太郎さん

すどう・こうたろう アニメーションプロデューサー。『ポプテピピック』( ’18年)などの作品を手がけている。

『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』の見どころをCHECK!
【POINT1】〈たべっ子どうぶつ〉たちがかわいく表情豊かに動いちゃう!

お菓子のパッケージにいたときは平面だったあの子たちが、フル3DCGのアニメーションでやわらか&もふもふな質感に大変身。しかも泣いたり笑ったり、怒ったり、くるくる変わる豊かな表情から目が離せません。観ている人はみんな、どうぶつたちに触りたい、抱きつきたい、と思うはず!

【POINT2】十人十色! キャラクターたちの個性にも注目。

リーダーなのに少々頼りないらいおんくんをはじめ、キャラクターたちにはみな映画オリジナルの性格が。それぞれ性格は異なりますが、みんなに共通しているのが、実は“弱い部分”を持っていること。完璧ではないキャラたちが協力することで、強い力を発揮する。彼らに託された映画ならではのキャラクター性に注目!

【POINT3】映画オリジナルキャラ・ぺがさすちゃんがさらわれた!?

須藤さん曰く、「お菓子にも現実の世界にも存在しないキャラ…ということで、UMA なども考えたのですが(笑)、いい感じに浮きつつキーパーソンになると思い、ぺがさすちゃんになりました」。そんなぺがさすちゃんが世界征服を目論むキングゴットンにさらわれてしまい、彼女を救出するため、どうぶつと仲間が大活躍する!

【POINT4】思わずお菓子の存在意義まで考える、人間とお菓子の愛のストーリー。

おかしと人間が仲良く暮らすスイーツランドのスーパーアイドル〈たべっ子どうぶつ〉。1年ぶりに帰国すると国の様子が…? なんとキングゴットンがわたあめ以外のお菓子を排除し、世界征服を目論んでいるらしい。孤児の少女ペロと共に、ぺがさすちゃんと世界を救うため、キングゴットンに戦いを挑む!

Information

『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』

スーパーアイドル〈たべっ子どうぶつ〉が、おかしと仲間を守るため、世界征服を企む悪に挑む冒険ムービー。声の出演/松田元太(Travis Japan)、水上恒司、髙石あかりほか 監督/竹清仁 脚本/池田テツヒロ 音楽/羽柴吟 5/1より全国公開。(C)ギンビス (C)劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

取材、文・河野友紀

anan 2445号(2025年4月30日発売)より

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