米ホワイトハウスがX(旧ツイッター)に投稿したトランプ大統領が映画「スター・ウォーズ」の「ライトセーバー」を掲げる画像
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 トランプ米大統領は4日、自身のSNSで、外国で製作された映画に対して100%の関税を課す方針を表明した。他国があらゆる優遇措置を通じて米国の製作者らを引き寄せていると指摘。ハリウッドなど米国の映画産業が「壊滅的な打撃を受け急速に死につつある」と表現し「国家安全保障上の脅威」だと主張した。さらに外国のプロパガンダが広がるのを防ぐ必要があるとの認識を示し「米国で再び映画を作りたい!」と強く訴えた。米商務省と通商代表部(USTR)には手続きを始めるように指示した。

 ただ、最近は映画製作に複数の国が関わるケースが増加。オーストラリアやニュージーランドなど、税制優遇措置もある国での撮影が増えているのが現状だ。また、配信視聴が主流となっており、とりわけ人口の多い中国が市場での存在感を強めている。もはやハリウッド一極集中の市場ではない。「GODZILLA ゴジラ」や「シャーロック・ホームズ」シリーズなどで知られる映画製作会社「レジェンダリー・ピクチャーズ」が2016年に中国企業の傘下となり、以降は同社が携わる作品に中国人俳優が必ず起用されるなど状況が激変した。

 ハリウッドには、ユダヤ系の人が映画作りを始めて事業を拡大してきた歴史がある。映画配給関係者は、トランプ氏の発言について「中国パワーの拡大を快く思わないユダヤ系の人の声に影響を受けた可能性もある」と指摘。そして「映画は知的財産なので、どのような形で関税がかかるのか、そもそもかけられるのかを想定しづらい」とも話した。実際に、具体的な手法については言及されていない。

 トランプ氏は1月から各国へ関税を課し、国内外の経済に大きな混乱をもたらしてきた。中国は4月に米国映画の「輸入数量を適度に減らす」との談話を発表しており、対中関税への報復の一環とみられる動きを見せた。今回の声明で、米中対立がエンターテインメント分野にも及ぶ可能性が出てきた。

 現地の専門家からも「反発の方が大きく、米国内の映画産業にマイナスでしかない」と厳しい声が上がった。もし「外国映画100%関税」が導入されれば、世界の映画産業に大きなダメージとなりそうだ。

 ≪SWの日にダース・ベイダー色の赤いライトセーバーを掲げる画像投稿≫人気SF映画シリーズ「スター・ウォーズ」の日の4日、米ホワイトハウスはトランプ氏が映画に登場する武器「ライトセーバー」を掲げる画像をSNSに投稿。剣の色はダークサイド(暗黒面)を信奉するキャラクターのダース・ベイダーが使用する赤だった。人工知能(AI)で生成したとみられる画像は、腕の筋肉を強調したトランプ氏が国鳥ハクトウワシと米国国旗を背にライトセーバーを持つ構図。政治的に対立しているリベラル派を、「シス」と呼ばれる暗黒の力を用いるキャラクターになぞらえて批判するコメントも添えた。一方、自身をローマ教皇に模した合成画像を投稿したことを巡っては信者らの間で波紋が広がっている。

 ≪ゴジラにポケモン…邦画はどうなる?≫米国で人気のある日本映画にはアカデミー賞を受賞した宮崎駿監督のアニメや「ゴジラ」、「ポケットモンスター」などがある。日本の映画関係者は今回のトランプ氏の発言には驚きを隠せず「関税分を込みにして元の買い付け額が安くなると、こちらはちょっと待ってくれという話になる。具体的なことが決まっていないので推移を見守るしかない」と話した。

 ≪3期目出馬否定≫トランプ氏はNBCテレビのインタビューで、憲法が禁じる3期目を狙って次期大統領選に出るかどうかを問われ「私がやりたいことではない」と否定した。米国第一主義運動「MAGA」(米国を再び偉大に)の将来に関し、退任後も自身が影響力を持ち続けるとし「トランプ流」の米国は続くと自信を示した。

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