高橋真梨子(2024年9月撮影)

高橋真梨子(2024年9月撮影)





THE ALFEEの、左から桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦(2023年8月撮影)



<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>


昨年10月にスタートした歌手高橋真梨子の「最後の全国ツアー」が5月8、9の両日に東京国際フォーラムで開催する2公演で幕を閉じます。

最終日に取材をする予定なのですが、「取材」となると記事を書くことに専念するために音楽をじっくりと聴くことができません。そこで、4月に行われた同所公演を観賞しました。

あらためて認識をしたことがあります。高橋のライブでは、詰めかけた約5000人の観客の全員がシーンと静まり返る会場で、歌声にじっと耳を傾けていること。響くのは高橋の歌声と演奏のみで、せき払いの音1つしません。

記者の右隣に座っていた男性は、前のめりになって微動だにせずステージを見つめていました。高橋に数十センチ近づいても聞こえる音に違いはないのですが、ついつい前に…。気持ち的にそうなってしまうのでしょうか。記者は体で軽くリズムを刻んだりしながら、耳になじんでいる“真梨子ワールド”に浸っていたのですが、周囲を見回すと「黙ってじっと聴く」派ばかり。高橋が作品の多くを手がけている歌詞の世界にも、どっぷりとはまっている感じがします。客席は60代や70代の人がメインでしょうか。1人1人が、酸いも甘いも経験してきた自身の人生と歌詞と重ね合わせているのだなと思いました。

高橋を「静」とすれば、ほぼ同世代の3人組ロックバンド「THE ALFEE」は対照的な「動」です。ライブのスタートから終演までファンはほぼ立ったまま。手をたたき、曲を口ずさんで、まるでお祭り騒ぎ。ファンがどんなに大声で歌っても、ガンガン鳴り響くギターサウンドと3人のシャウトが歓声にかき消されることはありません。

MCも好対照です。アルフィーは漫談調。爆笑につぐ爆笑で会場のファンは歌って笑って汗をかいてスカッとストレス発散。一方の高橋は言葉数も少なく、笑いが起こるわけでもなし。でもそこが“高橋らしさ”なんです。

いずれしろ、音を楽しむと書いて「音楽」。楽しみ方は人それぞれです。【松本久】






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