2000年にデビューしてからというもの、長澤まさみはトップ俳優のひとりとして今日まで走り続けてきた。いまの彼女は世代に関係なく、“トップ・オブ・ザ・トップ”の俳優だといえるだろう。そんな長澤が2016年に出演した映画『グッドモーニングショー』が地上波にて初放送される。本作が劇場公開されたのはいまから9年も前のこと。これは長澤にとって、いったいどのような作品なのだろうか。
2016年に公開された中井貴一主演映画『グッドモーニングショー』が、4月9日21時よりフジテレビ系で地上波初放送されることが決定…
この『グッドモーニングショー』とは、テレビの“ワイドショー”を舞台としたもの。中井貴一が主演を務めるスリリングでコミカルなエンターテインメント作品だ。主人公・澄田真吾(中井貴一)はかつて報道番組のエースキャスターだったが、とある一件を機に、いまでは朝のワイドショー『グッドモーニングショー』のメインキャスターの座に収まっている。報道の世界で闘っていた彼からすれば不服なのだろうが、一部の人たちにとっては憧れの職業だ。長澤は番組サブキャスターの小川圭子を演じている。
この小川圭子という女性は、初登場時からなかなかに危険な香りのするキャラクターだ。澄田との間に男女の関係があるらしく、そのことを生放送中に発表しようなどとしている。一般的な常識から逸脱した考えの持ち主で、心の内の読めない人物なのだ。圭子は本気で何をするか分からない。主人公の澄田と同様に、私たち視聴者の誰もが彼女の言動に翻弄されることだろう。これを長澤はじつに軽やかに体現してみせている。心の動きが見えない人物なので、セリフ回しにしろ身のこなしにしろ、演じるのはかなり難しかったのではないだろうか。
まもなく2024年も終わり。私にもあなたにもいろいろとあったはずだし、日本の社会的にも、世界的にも、いろいろあった。目の前にある…
長澤が演じる心の内の読めないキャラクターといえば、ドラマと映画で展開されている『コンフィデンスマンJP』シリーズのダー子役がこれに当たるだろう。彼女の言動の何が本当で何が嘘かーーこのキャラクターは天才詐欺師だ。これまでに日本中のファンを愉快に騙し続け、いまや長澤にとって代表作だといえるものになった。主演=座長である彼女が作品を牽引するハイテンションな演技もかなりの見応えがある。長澤にとってキャリア最初期の代表作はやはり『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)だろうから、この20年で相当な演技の振り幅を身につけてきたことが分かるはずだ。
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