ウェス・アンダーソン監督の『フェニキアン・スキーム』でザザ・コルダ役を演じるベニチオ・デル・トロとシスター・リースルを演じるミア・スレアプルトン COURTESY OF TPS PRODUCTIONS/FOCUS FEATURES
カンヌ国際映画祭のティエリー・フレモー代表とイリス・ノブロック会長は、パリで行われた記者会見で2025年、第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門の作品タイトルを発表。カンヌ国際映画祭は5月13日から24日まで開催される予定。
記者会見のハイライト
記者会見はパリで現地時間午前11時に開始され、カンヌの公式YouTubeチャンネルでライブ配信された。ノブロック会長は冒頭で寛容と多様性の重要性を強調し、「カンヌ国際映画祭は80年近くにわたり世界と対話し、勇敢で好奇心旺盛、そしてオープンなフランスを体現してきた」と述べた。また、ロサンゼルス火災の犠牲者への哀悼の意を表し、被害を受けた米国映画業界の回復力を称えた。
フレモー代表によると、今年の選考では過去最多となる2,909本の長編映画が審査されたとのこと。
カンヌ国際映画祭の評価と影響力
昨年の映画祭では世界一の映画祭としての地位を再確立した。2024年に選出された作品からは、31作品がアカデミー賞にノミネートされ、9作品が受賞という輝かしい実績を残した。特にショーン・ベイカー監督のパルムドール受賞作『ANORA アノーラ』は、作品賞を含む5部門でアカデミー賞を獲得した。

また『サブスタンス』やアニメーション部門受賞作『Flow』など、昨年の映画祭から多くのヒット作が生まれたことで、今年の選考作品への期待も一層高まっている。
2度のパルムドール受賞者であるダルデンヌ兄弟はベルギーの社会的リアリズムの最新作『Young Mothers』で復帰、第一次世界大戦を舞台にしたゲイのロマンティックロードムービー『The History of Sound』にはポール・メスカルとジョシュ・オコナーが出演。
米国の配給会社ネオンは、前例のない5年連続のパルムドール受賞作品(『パラサイト 半地下の家族』(2019)、『TITANE/チタン』(2021)、『逆転のトライアングル』(2022)、『落下の解剖学』(2023)、『ANORA アノーラ』(2024))を抱え、『アルファ(原題)』とヨアキム・トリアー監督(『私は最悪。』)の『センチメンタル・バリュー(原題)』の両方を手がけることで、6連続達成の可能性を持っている。

コンペティション外のハイライト作品
ジョディ・フォスター主演、レベッカ・ズロトヴスキ監督の『ヴィ・プリヴェ(原題)』、U2のヴォーカル、ボノのドキュメンタリー『ボノ:ストーリーズ・オブ・サレンダー(原題)』、ドイツのファティ・アキン監督の最新作『女は二度決断する』にも出演したダイアン・クルーガー主演の『アムルム(原題)』、セバスティアン・レイロ監督のスペイン語ミュージカル『ザ・ウェーブ(原題)』、そしてロシアのキリル・セレブレンニコフ監督の『ヨーゼフ・メンゲレの失踪(原題)』などがある。
2025年コンペティション部門一覧
『Alpha』ジュリア・デュクルノー監督
『Dossier 137』ドミニク・モル監督
『The Eagles of the Republic』タリク・サレ監督
『Eddington』アリ・アスター監督
『Fuori』マリオ・マルトーネ監督
『The History of Sound』オリバー・ハーマヌス監督
『La Petite Derniere』アフシア・エルジ監督
『The Mastermind』ケリー・ライカート監督
『Nouvelle Vague』リチャード・リンクレイター監督
『The Phoenician Scheme』ウェス・アンダーソン監督
『ルノワール』早川千絵監督
『Romeria』カルラ・シモン監督
『The Secret Agent』クレベル・メンドンサ・フィーリョ監督
『Sentimental Value』ヨアキム・トリアー監督
『A Simple Accident』ジャファール・パナヒ監督
『Sirat』オリバー・ラクセ監督
『Sound of Falling』マシャ・シリンスキー 監督
『Two Prosecutors』セルゲイ・ロズニツァ監督
『Young Mothers』ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督
プレミア上映
2025年カンヌ国際映画祭で最も話題となっているのは、トム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』のワールドプレミア上映だ。5月23日の世界公開に先立ち上映が行われる予定。

「ある視点」部門の新鋭監督作品
スカーレット・ヨハンソン初監督作品『エレノア・ザ・グレート(原題)』
ロンドンのホームレスを描いたハリス・ディキンソン監督『アーチン(原題)』
イギリス系ナイジェリア人映画監督アキノラ・デイヴィスのデビュー作『マイ・ファーザーズ・シャドウ(原題)』
ミッドナイト・スクリーニング
『Dalloway』ヤン・ゴズラン監督
『8番出口』川村元気監督
『Songs of the Neon Night』ジュノ・マック監督
特別表彰
アカデミー賞受賞者のジュリエット・ビノシュが2025年カンヌ映画祭の審査員長を務める。また、ロバート・デ・ニーロは開会式で生涯功績を称えられ、パルム・ドールを授与されることが決定している。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。
【関連記事】
WACOCA: People, Life, Style.