ゲーム『Minecraft(マインクラフト)』の実写映画『マインクラフト/ザ・ムービー』が、4月25日(金)から劇場公開される。

主演に「アクアマン」シリーズのジェイソン・モモアさんらを迎え、『ナポレオン・ダイナマイト』などで知られるジャレッド・ヘスさんが監督をつとめた。

映画『マインクラフト/ザ・ムービー』本予告

本作の制作陣は、絶対に譲れない要素として「この映画が、間違いなくマインクラフトの世界であること」にこだわったと明かしている。

全てが四角いブロックで構成された『マインクラフト』の世界を制作陣はどう実写に落とし込んだのか? その舞台裏を、美術監督のグラント・メイジャーさんらが明かしてくれた。

物理世界とデジタル世界の融合が大きな課題に

『マインクラフト/ザ・ムービー』で美術監督をつとめたグラント・メイジャーさんは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズに参加し、アカデミー賞・美術賞に輝いた巨匠だ。

彼は「マインクラフトには膨大な数のファンがいて、何百万人ものプレイヤーがいる。この映画がその期待を裏切ることは許されなかった」と語る。

続けて、「私たちにとって、マインクラフトのルールを守ることは絶対に必要だった。同時に、映画には実在の人間が登場する。だから物理世界とデジタル世界の融合をどのように表現するのか、それを毎日考え続けることになったんだ」と、大きな課題があったと明かした。

リアルな登場人物と“マイクラワールド”の融合が課題になった

そうした課題に直面しながら進められた制作には、『マインクラフト』の開発者であるイェンス・バーゲンステンさんも参加している。

イェンス・バーゲンステンさんは、監督やビジュアルチームと、立方体のブロックで構成されたゲームの画面をリアルな映像に落とし込む方法を検討。

動物や村人などのキャラクターの肌の質感をはじめ、風景をどう描くべきかなど、その検討範囲は細部にまで及んでいる。

実写化で見出した「絶対に守らなければならないルール」

世界観の構築にあたっては、俳優たちが撮影中のセット内をスムーズに移動できるようにするのも大きな課題となった。

「マインクラフトのブロックは、それぞれ1メートル四方なんだ。でも、それでは人間が歩き回るには大きすぎる。だから、ブロックの形にはある程度の調整が必要だった」と、イェンス・バーゲンステンさんは苦労を語る。

そして、検討の中で見出された『マインクラフト』らしさを担保する方法について「絶対に守らなければならないルールがひとつあった。それは“すべてをグリッドに沿って配置する”こと。どの要素もキューブ型や四角い形を基盤にすることで、マインクラフトらしさを損なわないようにしたんだ」と説明している。

映画の象徴的なアイテムである剣に込めた工夫

映画に登場するアイテムの制作においては、『マインクラフト』のクリエイティブディレクターであるトルフィ・フランス・オラフソンさんが重要な役割を果たした。

ゲームのデザインを忠実に再現することが重要視される中、制作チームにとって貴重なアドバイザーとなり、細部のチェックと並行してアイデアを提供。ゲームのデジタルな世界を、リアルなセットとして形にしていった。

映画の中でも象徴的な小道具の一つが、メインキャラクターの少年・ヘンリーがクラフトする剣だ。ゲームとまったく同じ尺度と比率の剣をデザインしつつ、実際に使いやすく、より“カッコいい武器”にするための調整が加わっている。

『マインクラフト/ザ・ムービー』に登場する剣

また、『マインクラフト』の世界は生き物も物質もすべてが四角いが、四角いものは手に持つと違和感が出てしまうため、微調整がなされた。

最終的に、全体的なラインは直線的でありながらも、ゲームらしさを保ったデザインに仕上がっている。

ポップポータルメディア「KAI-YOU」の編集部(2013年3月15日より運営開始)。重要性の高いニュース記事に加え、クリエイターへのインタビューや発表会、展覧会などのイベントレポート、独自の視点・切り口からのレビューやコラムなども多数配信。ポップカルチャーと現代社会が相互に影響し合う歴史を記録しながら、シーンの最先端にある新たな価値観や才能を発掘・発信している。

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