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第1回 日本モンゴル映画祭開催中

 

2025年3月22日(土)より新宿K’s cinemaで開催が始まり、同館での3月28日(金)までの上映後は、3月29日(土)~4月11日(金)横浜シネマリンでの上映が控える「第1回 日本モンゴル映画祭」。
 

この度、映画祭の2025年3月22日(土)~新宿 K’s cinema他での開催開始を記念し、モンゴル初のハリウッド進出を果たした俳優アムラ・バルジンヤムが来日。
俳優のほか監督・プロデューサーとしても活躍するアムラの初監督作である映画祭オープニング作品『ハーヴェスト・ムーン』と、彼が脚本・出演を務めた柳楽優弥主演作『ターコイズの空の下で』が上映された3月22日、新宿K’s cinemaにてアムラによる初日舞台挨拶が行われました。
日本モンゴル映画祭
 

初日舞台挨拶
日付:3月22日(土)
場所:新宿K’s cinema
登壇:アムラ・バルジンヤム

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『ハーヴェスト・ムーン』舞台挨拶

日本モンゴル映画祭
『ハーヴェスト・ムーン』の上映後舞台挨拶では、自身が初めて監督を務めた理由について、作り手それぞれが異なるストーリーテリングの手法を持つ中で、本作にピッタリな手法で映画制作を続けている監督を探したが、自分が思い描く手法は自分にしかできないと思い、監督を担うに至ったとコメントしたアムラ。 続けて英題の意味を聞かれると、「ムーン(月)」は女性を意味しており、アムラが演じる主人公トルガも彼が故郷で出会う少年トントゥーレイも、それぞれに異なる女性を思い続けていると言及。そして、モンゴル国内には現時点で約9万世帯の母子家庭と約2万世帯の父子家庭が存在し、さらに両親の出稼ぎや都市部への進学、あるいは死別や貧困などの様々な理由から、トントゥーレイのように両親と一緒に生活できない子供は20万人近く存在することを説明。そうした子供たちの多くが、生活面でも精神面でも他の子より早く「大人」にならなくてはならない状況を強いられるという現実を、国内外の大人たちにこそ知ってほしいという思いから同作を企画したと明かした。
また作中で都市と地方の関係性を描いたのも「モンゴルは世界でも18番目に国土面積が広い国なのに対し、人口は約348万人と少なく、その半数が都市ウランバートルで生活している」というモンゴルにおける地域での人口格差の課題が背景にあると解説した。
最後に、アムラは「経済的に厳しい環境にある子供たちが、他の子よりも早く『大人』になるように強いられる」という状況は、モンゴルのみならず世界各地が抱える問題であり、映画を観た感動と共に抱く「子供たちを取り巻く問題を解決したい」という思いによって、モンゴル人・日本人をはじめ多くの人々が分かり合えることを願っていると来場した人々に伝えた。
 

日本モンゴル映画祭
 

『ターコイズの空の下で』舞台挨拶

続けて上映されたアムラの脚本・出演作『ターコイズの空の下で』の舞台挨拶では、同作プロデューサーであり「第1回 日本モンゴル映画祭」代表の木滝和幸の司会のもと、再びアムラが登壇。同作の脚本執筆・出演の経緯について、アムラはモンゴル人・日本人の間にある“長き物語”の存在をはじめに挙げた。第二次世界大戦の終戦後、当時モンゴルにいた日本人の約1万2千人が捕虜して抑留され、モンゴル国内の交通の要となる大橋や公共施設などの工事に従事したが、中には厳しい寒さや病気による亡くなった者も少なくなかった。亡くなった者たちの遺骨はモンゴル国内の墓地に葬られたが、のちに日本へと引き取られたことで死者たちはようやく祖国へ帰還できたこと。
一方、モンゴルが社会主義政権時代を経て、1980年の最後に民主化へ至った直後には、国内経済は低迷し重大な食糧難の時代が訪れたが、その際に日本は牛乳などの食料物資やヒーターなどの暖房器具、バスの寄贈などの支援を行ってくれたことから、モンゴル人として「かつての戦争や悲しみの歴史を観る者に伝えながらも、“愛”によってモンゴルと日本をつなぐ映画」を制作できないかと思い至り、のちに出会ったKENTARO監督と企画を練っていったと明かした。
共演した主演の柳楽優弥については、俳優としての魅力あふれる才能・実力のみならず、モンゴルという国の生活・文化に深く興味を持って撮影期間を過ごしてくれたことが何よりも嬉しかったと語り、フレンドリーな空気に常に醸し出してくれたことが撮影現場を支えてくれていたとコメント。
日本モンゴル映画祭
そして『ターコイズの空の下で』のキャスティング・スタッフィングにあたって、柳楽やベテラン俳優の麿赤兒をはじめ、様々な国の優れたキャスト・スタッフで制作を進められたのは、交渉を担当してくれた木滝プロデューサーは不可欠だったと、彼への感謝の言葉で舞台挨拶を締めくくった。
 

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今後の舞台挨拶情報

 

【横浜シネマリン/2025年3月29日(土)~4月11日(金)】
3月29日(土)
・『ホワイト・フラッグ』11時45分~上映後(上映終了:13時21分)
登壇ゲスト:バトバヤル・チョグサム監督
4月7日(月)
・『ターコイズの空の下で』13時15分~上映後(上映終了:14時55分)
登壇ゲスト:KENTARO監督
4月11日(金)
・『ターコイズの空の下で』15時00分~上映後(上映終了:16時40分)
登壇ゲスト:KENTARO監督
*登壇ゲストのご都合等による変更・中止の可能性がございます。予めご了承ください。
*最新の舞台挨拶情報の詳細は、映画祭公式SNS・各劇場公式SNSにてお確か目ください。

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第1回 日本モンゴル映画祭

 

2025年3月22日(土)~3月28日(金)新宿 K’s cinemaで開催!
3月29日(土)~4月11日(金)横浜シネマリンで開催!
 

公式HP:
https://mongolianfilmfest.com/
 

公式X(旧Twitter):
@mongolfilmfest
 

公式Instagram:
@mongolfilmfest
 

「第1回 日本モンゴル映画祭」全上映作品》

 

『ハーヴェスト・ムーン』
第41回バンクーバー国際映画祭 ヴァンガード部門 観客賞
レストランで働く青年トルガは、草原で暮らす養父の体調が悪いという知らせを受け、すべてを捨てて故郷へ向かう。
そして父親の死後も街には帰らず、父が行うはずだった収穫の仕事を自分がやると決めた。
そこでトルガが出会った10歳の少年トントゥーレイは、シングルマザーの母親が街で働く間、祖父母とともに暮らしていた。年齢差を超えて、互いの心の内に秘めた感情に触れあううち、それぞれに新たな変化が芽生えて……。

『獄舎Z』
第24回高雄映画祭 正式出品
更生のため、街から遠く離れた労働収容所に連れてこられた非行少年グループ。ここで厳しい罰を受けることになるかと思いきや、謎の闇の世界へ放りこまれ……。
閉鎖空間で自由と生き残りを賭け、影に潜む邪悪な勢力と戦わなければならなくなった若者たち。刻々と残り時間は減り、山中どこへ行っても危険地帯だらけ! 果たして彼らは魔の手から逃れ、暗闇から光の中へ脱することができるのか!? 極寒のモンゴルを舞台にゾンビたちが暴れ出す!

『シティ・オブ・ウインド』
ベネチア国際映画祭 オリゾンティ部門 最優秀男優賞
第96回アカデミー賞 国際長編映画賞 モンゴル代表
大阪アジアン映画祭 グランプリ(最優秀作品賞)
高校卒業を控えた17歳のゼは内気な青年。学校で勉学に励む一方、困っている人を助けるために儀礼を行うシャーマンの役目も果たしていた。そんな彼はある日、心臓に持病を抱える少女マララのために儀礼を行うことに。
突然出会った二人は惹かれあい、やがて恋に落ちる。好奇心旺盛なマララに刺激を受け、色鮮やかに輝き出したかのようなゼの日常だったが、シャーマンとしての使命を背負う彼の心に新たな葛藤が生まれて……。

『トレジャー・アイランド』
物売りたちが集まる青空市場の他に行き場のない孤児のガルトだったが、ある日強盗団のメンバーに遭遇し、彼らから任務を言い渡されることになった。訪れた先で待ち受けていたのは、手を縛られ監禁されていた魅惑的な女性ウヤンガ。強気な彼女に手を差し伸べるうち、ガルトの人生は想像とは異なる方向へ進んでいくことに……。
人の優しさと愛情、醜さと裏切り。モンゴル社会の両面性を描き、そこで翻弄されていく若者たちの物語。

『ホワイト・フラッグ』
都会の刑事ゾリグは、行方不明の男性を探すため地方を訪れていた。その人物が最後に目撃された現場のそばで、彼は一つのゲルに暮らす二人の若い女性サランとナランと出会う。ゾリグは疑いを持ちつつ彼女たちに近づき、やがてサランと一線を越えてしまう。
しかし彼女たちは姉妹ではなく、モンゴルではいまだタブー視されることもある同性愛の恋人関係だった。恋人とゾリグの仲を知ったナランは、感情を激しく乱してしまい……。

『冬眠さえできれば』
カンヌ国際祭映画祭 「ある視点」部門 正式出品
第25回東京フィルメックス 審査員特別賞&観客賞
数学が大得意な高校生ウルジー。物理学コンクールで優勝し、進学のため奨学金の獲得を目指すも、母親が地方で働くと突然言い出し、幼い弟と妹とともに家に残されてしまう。厳しい冬を乗りきるためには暖房の燃料となる石炭を買うお金を稼がねばならず、闇の仕事に手を出したウルジーは、勉強どころでなくなって……。
カンヌ映画祭の「ある視点」部門でモンゴルの長編映画として初めて上映され、モンゴルでも大きな支持を得た作品。

『ターコイズの空の下で』
第68回マンハイム・ハイデルベルク国際映画祭
才能賞&FIPRESCI賞
第28回カメリマージュ国際映画祭
ワールド・シネマ部門 正式出品
日本人の道楽息子タケシと、ワイルドなモンゴル人青年アムラが、あるきっかけでモンゴルの草原を共に旅することになる。タケシには、第二次世界大戦終了後にモンゴルで捕虜となった祖父が、現地で恋に落ちた女性との間に生まれた娘を探すというミッションがあったが……。
タケシ役を柳楽優弥が熱演。美しい大草原を走りながら、道中でさまざまな人々やハプニングに遭遇し、言葉の壁を越えて青年二人が絆を深めていくコミカルなロードムービー。

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主催:日本モンゴル映画祭実行委員会
共催:株式会社マグネタイズ
企画:株式会社NOMADZ
宣伝:株式会社ゆかし
特別協賛:株式会社エアトリ
協賛:株式会社グランマーブル
協力:東京フィルメックス、大阪アジアン映画祭、株式会社シンクイ、todoiF
後援:駐日モンゴル国大使館
(C)Japan MONGOLIAN Film Festival 関連記事:


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