「Future of Music」はローリングストーン誌が展開する、“未来の音楽のあり方”をテーマとした特集プラットフォーム。その中心コンテンツ「Future 25」では、ジャンルやルーツの垣根を超えて25組の新進気鋭アーティストを毎年選出し、次世代のキーパーソンを紹介してきた。2023年に本国USでスタートした本特集は、翌年から世界各地の編集部が独自にアーティストを推薦するグローバル・プロジェクトへと発展。国際化が進む音楽シーンの最前線を捉えている。
Rolling Stone Japanでも昨年刊行のvol.26にて、同号の表紙を飾ったMAZZEL、最新号vol.30カバーのME:Iなど「Gacha Pop」時代の多様性を反映した”日本代表”を選出し、大きな反響を集めた。2度目の「Future 25」となる今回も、勢いが止まらない3人組・Chevonを筆頭に、トランス・レイヴクルー、オルタナの新鋭、バーチャルバンド、サイバーラウドロック、フューチャーソウル、ボカロカルチャー、J-POPの音像や価値観を刷新するライジングスターまで、各方面からユニークな顔ぶれが集結している。今年5月には国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」の開催を控えるなど、日本の音楽シーンが世界とのつながりを深めていくなか、若きイノベーターたちの躍動から明るい未来が見えてくるはずだ。(小熊俊哉)
最新号vol.30では全36ページの大型特集「Future of Music」をフィーチャー。バックカバーにはChevonを起用
Photo by Yukitaka Amemiya
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「Future of Music」はグローバル連動企画。US版編集部は過去2年の「Future 25」でNewJeans(現・NJZ)、ペソ・プルマ、ドーチー、おとぼけビ〜バ〜、チャペル・ローンなどを取り上げてきた。今年はベンソン・ブーンなど4組が同特集号の表紙を飾る
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◆「Future of Music」日本版選出アーティスト
Chevon
救い、救われる。だから私の人生を歌う
Photo by Yukitaka Amemiya
ネットが影響力を持ちすぎた時代を、Chevonは逆行する。否、次に進むべき道を切り拓いている。そのライブは一度観れば誰もが心を鷲掴みにされてしまうもので、ChevonはSNSではなく現場で一人ひとりの人生を揺さぶって、急速に動員数を増やしている。そうして結成4年目にして、最もチケットが取りづらく、全国のフェスやイベントからオファーが絶えないバンドになった。「ルールを塗り替え、記録を塗り替え、音楽の未来を定義する、最もエキサイティングなアーティスト」として私たちはChevonを送り出す。(矢島由佳子)
※3月25日発売「Rolling Stone Japan vol.30」にインタビュー掲載
みんなのきもち
熱狂と衝動を生み出すトランスクルー
Photo by nate
2021年に東京のレイヴシーンに突如現れた〈みんなのきもち〉は、国内外でカルト的な人気を誇るトランス・パーティ・クルー/DJユニットだ。Boiler Roomへの出演をきっかけに全世界にその名前が知れ渡り、グラストンベリー・フェスティバル出演のほか、ベルリンの名門クラブ・ベルグハインでのパフォーマンスも高い評価を得た。トランスやアンビエントを中心に電子音楽の境界線を旅しながら、フロアに桁違いの熱狂を生み出す彼らは、シーンの全ての人に「生」の衝動を呼び戻す。(原田圭)
※3月25日発売「Rolling Stone Japan vol.30」にインタビュー掲載
kurayamisaka
日本のオルタナを世界へ、躍動する5人組
2022年に東京・大井町で結成。フジロック’24のROOKIE A GO-GO、NME「2025年注目すべき世界中の新鋭アーティスト100組」に選出されるなど、国内外で注目度が高まっている。バンドの創始者であるギタリスト・清水正太郎が手がける楽曲は、グランジや90年代オルタナギターロックに歌謡曲的なメロディが乗ることもあれば、ポストロックやシューゲイザーで押し切ることも。自らのルーツを変幻自在に落とし込み、5人の伸び伸びと躍動する演奏がその魅力を最大限にスパークさせる。(小松香里)
※3月25日発売「Rolling Stone Japan vol.30」にインタビュー掲載
夢限大みゅーたいぷ
バーチャルとリアルの「壁」を壊す
Photo by Mitsuru Nishimura
声優がキャラクターとして実際にバンド活動を行うスタイルの先駆けとなった人気コンテンツ「BanG Dream! (バンドリ!)」発の5人組、“夢(バーチャル)と現実(リアル)を飛び越える運命共同体(バンド)”と銘打つ夢限大みゅーたいぷ(通称:ゆめみた)は、Live2Dアバター(バーチャル)を使った配信活動と生身(リアル)でのライブ活動を並行して行う新しいタイプのバンドだ。国境どころか次元の壁も越えて世界に羽ばたかんとする彼女たちのカオスの根源に迫る!(北野創)
※3月25日発売「Rolling Stone Japan vol.30」にインタビュー掲載
HANA
社会に革命を起こす、ちゃんみなプロデュースの7人組グループ
社会の中で突きつけられた「No」に「No」を掲げる。そんなメッセージをもって始まった、ちゃんみながプロデュースするオーディション「No No Girls」には国内外から7000通を超える応募が集まった。そこから選ばれた7人で結成されたのが、HANAだ。HANAはガールズグループ界のみならず、社会に革命を起こす存在になるだろう。ちゃんみなが名曲「美人」をはじめとした数々の楽曲やパフォーマンスで、少しずつ世の中の価値観を動かしてきたように。そう言いたくなるのは、HANAに向けられている声援の色がすでに、これまでの類とは異なるから。誰かが決めた一定の基準に則ったものだけを「かわいい」「美しい」「かっこいい」と呼ぶのではなく、一生懸命に生きる人間の姿こそ「かわいい」「美しい」「かっこいい」ことをHANAは体現し、ファンはそこに歓声を上げている。孤軍奮闘してきたちゃんみなは、もう独りじゃない。彼女が起こしたポジティブなエネルギーはHANAとともにより強く、大きく、渦巻いていく。(矢島由佳子)