60年以上続くNHKの看板番組「大河ドラマ」。歴代のテーマ音楽の作曲家たちは、登場人物たちの激動の生涯や、彼らが生きた時代のエネルギーを、わずか2分半という限られた時間に封じ込めました。放送開始以来、ほぼ全てのテーマ音楽を演奏してきた本家本元、NHK交響楽団による注目のプログラムです。
新一万円札の顔となった渋沢栄一が主役の「青天を衝け」(佐藤直紀、2021年)で、コンサートは始まります。続いて「大河」の大ファンでもある広上淳一が、実際の放送でも指揮を務めた「軍師官兵衛」(菅野祐悟、2014年)と「麒麟がくる」(ジョン・グラム、2020年)。ともに夢半ばで敗れた戦国武将の物語です。
特別ゲストの高橋英樹が出演した「翔ぶが如く」(一柳慧、1990年)と「篤姫」(吉俣良、2008年)は、どちらも動乱の幕末が舞台ですが、前者は維新の英雄たちの群像劇で、後者は女性が主役。続けて聴けば、曲の性格も好対照であることが実感できるでしょう。
2024年に亡くなった湯浅譲二は、「元禄太平記」(1975年)、「草燃える」(1979年)、「徳川慶喜」(1998年)の3作品を残しました。長く日本をリードした前衛作曲家だけあって、複雑なリズムと斬新な響きを用いた音楽は、独自の輝きを放っています。
ほの暗い情熱をたたえた三浦文彰のソロ・ヴァイオリンが印象的な「真田丸」(服部隆之、2016年)、さらには最新作の「べらぼう」(ジョン・グラム、2025年)まで、盛りだくさんな内容をお楽しみください。

西川彰一(NHK交響楽団 芸術主幹)

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