治療が難しいとされているすい臓がんの早期発見につながる新たな検査方法を開発したと九州大学病院が発表しました。

世界初のスクリーニング法

九州大学病院が21日発表したのは、すい臓がんの新たなスクリーニング法です。

すい臓がんは進行が速いため早期発見が重要ですが、初期症状は、腹痛や食欲不振など一般的な症状でがんと診断することが難しく、発見が遅れやすいとされています。九大病院が新たに開発したのは、胃の内視鏡検査を行う際に十二指腸液を採取し、特定の成分の濃度を調べてすい臓がんが疑われるかどうかを診断するものです。

これは世界で初めての方法で、これまでのすい臓がんの検査に比べて合併症の危険性がほとんどなく、早期発見につながると期待されています。九州大学病院 中村雅史病院長
「すいがんは進行が非常に速いですから、3か月間何も治療を受けずに放置されるというのはかなりの進行をすることになるということで、少しでも早く診断することでより多くのすいがんの患者さんを救えるようにしたい」

このスクリーニング法は、健康診断や人間ドックのオプション検査として提供する準備が進められていて、共同で研究にあたった福岡赤十字病院では2025年春から開始される予定です。

発見が遅れやすい「沈黙の臓器」

こちらはがんの種類別の死亡者数のデータです。

男性で最も多いのが肺がん。続いて大腸、胃となり、すい臓がんは4番目に多いがんとなります。

女性は大腸、肺となり、3番目に多いのがすい臓がんとなります。

すい臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、がん初期の段階では発見が遅れやすいとされています。

突出して低い「10年生存率」

2024年、国立がん研究センターが公表した、がんの10年後の生存率のデータです。

2011年のデータを元に作られているのですが、大腸がんは57.9%胃がんは56.8%乳がんは82.9%、そして、すい臓がんは5.8%と突出して低くなっています。

早期発見や治療が難しいことが理由と見られています。

九大が15年前から研究

九州大学の研究グループは、2010年から十二指腸液を用いたすい臓がんの早期発見診断法の開発を行ってきました。

十二指腸液を専用カテーテルで採取し、専用の液で検査するもので、十二指腸液の中に「S100P」というタンパク質の濃度が高い場合、すい臓がんの可能性があることが分かりました。

そのため、健康診断などで行う胃カメラ検査のオプションとして十二指腸液を検査することで、すい臓がんの早期発見が期待できるということです。

すい臓がんで家族を亡くした遺族「希望感じる」

今回の新たな検査方法ががん患者にどのような影響を与えるのか、家族をすい臓がんで亡くした女性に話しを聞きました。

福岡膵がん患者夫婦の会 代表 ひかりさん
「かなり希望を感じるニュースだとお話を聞いて思いました。早く見つけることでやはり治療の選択肢が大幅に変わってくるのですごく患者にとっても希望だと思います」福岡膵がん患者夫婦の会の代表ひかりさんは、2018年に75歳だった母親をすい臓がんで亡くし、その4年後には当時47歳の夫もすい臓がんの告知を受け、1年闘病した後に亡くなりました。福岡膵がん患者夫婦の会 代表 ひかりさん
「すい臓がんはできる部位によって痛みがほとんどない。実母もやっぱり自覚症状がほとんどなかったですね。すい臓が胃の裏側にあるので、どうしてもエコー検査で見えない。たまたまその時の内臓の位置とか、診察に行ってたまたまその時のコンディションで見えたり見えなかったりするっていう。すい臓がんは奇跡的に見つかるかどうかっていう。そういう世界かなっていう印象があります」ひかりさんの夫は、健康診断の腫瘍マーカーの数値で異常が出たため、1週間入院し精密検査。すい臓がんの診断が出るまでは数週間かかったと言います。

21日、九州大学病院が発表したすい臓がんの早期発見に繋がる新たな検査方法についてひかりさんは…。福岡膵がん患者夫婦の会 代表 ひかりさん
「今はもう切れない治療、ほとんどが抗がん剤だけっていう感じで、うまくいった一部の、本当に1、2割ぐらいの方が切って手術できる。だから早く見つかったらやっぱり切り取ったりとかできるっていうこと。だいぶ可能性が増えるので。今でも治ってる方ももちろんいらっしゃいますけどすごくごく一部なので、でもちゃんと完治できる病気になるっていう希望になるんじゃないかな」

詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkb/1746886

1 Comment

  1. ありがとうございます。
    人間ドック早くできると良いですね。
    感謝致します。

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