川越へ大工の職人たちを連れて出仕事に行っていた「大留」の若棟梁の茂次は、神田岩井町の実家を、火事で父母と供に失ってしまう。しかし、家の普請を待っているお客がいる。「大留」を再建させなければならない。そこに集まってくる人びとの思いやりと人情の物語。災害の多い昨今、現在にも通じる胸アツの小説です。(NHK木曜時代劇にもなった作品です)

初出:「講談倶楽部」昭和三十二年十一月号 
現在は新潮文庫『ちいさこべ』などで読むことが出来ます。
※この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します

✨朗読の途中で広告が入ることがありませんので、安心してお聴き頂けます✨

🎤朗読の最後に2023年11月27日に東京で開催する朗読会についてのご案内がありますので、どうぞ最後までご覧下さいませ。また、チャンネルのコミュニティの所にも詳細がありますので、そちらからもご覧頂けます😊

◎主な登場人物
茂次(しげじ)神田岩井町の大工「大留(だいとめ)」の若棟梁、二十三歳
大六(だいろく)大留の職人で茂次の後見役
助二郞  通いで大留の帳場をしている。家は下谷の御徒町
おりつ  亡くなった父親の医薬代のために茶屋奉公に出ていたが、茂次の両親と同じ火事で母を亡くし、一人になり、大留の下働きをするようになる。茂次とは幼なじみ
福田屋久兵衛(きゅうべえ) 茂次と同じ町内の質両替商で五人組の町役も務める
利吉(りきち)福田屋の長男で二十三歳
おゆう  福田屋の十七歳になるひとり娘 
和七(わしち)/和泉屋七兵衛 木場の職人仲間、大留の再建のために金を都合する
大伊(だいい)の伊吉 高輪に住み、亡くなった茂次の父の弟分
兼六(かねろく)大留の弟子の最古参、浅草あべ川町に住む
中島市蔵(なかむらいちぞう)町方同心
八百徳(やおとく)八百屋の徳二郎、茂次より一つ年下の幼なじみ
こどもたち

◆註釈(文中の表記、意味などについて)
在城(ざいじょう)城にいる
子飼いの弟子 子供のときから奉公人や弟子として養育すること
遠近(えんきん)遠い近い
棟梁(とうりょう)建物において重要な構造である棟と梁を踏まえた語で、大工の親方
早駕籠(はやかご)急いで走らせる駕籠のことで主に庶民が利用し、スピーディーに移動することを目的としていることから、床面が天井よりも狭くなっているのが特徴。 通常は2人で運ぶが、早駕籠の場合は3人で交代しながら運ぶため料金は5割増しとなり、4人で交代の駕籠の場合は倍の料金になる。
名代(みょうだい)人の代理をつとめること。それをする人
普請(ふしん)家を建築したり修理したりすること。建築工事
追回し 仕事中の雑用を主に担当し、常に追回されるように作業をこなすことから、呼ばれる名
仔細(しさい) 物事のくわしい事情
采配(さいはい)集団の指揮を執る
本普請(ほんぶしん)←仮普請(かりぶしん)
勝手(かって)台所
半挿(はんぞう)湯水を注ぐのに用いる器
房楊子(ふさようじ)柳や竹の一端をくだいて房のようにした楊枝、歯ブラシのルーツ
お住持(おじゅうじ)→お住職と言い換えています
盛物(もりもの)神前、仏前に供える供え物
頭(こうべ)を垂れる→状態を想像しやすいように、頭(あたま)を垂れると言い換えています
厄介(やっかい)になる 世話になること、面倒を見てもらうこと
運上(うんじょう)江戸時代の税金の一種
はえぬき はじめから続けてその会社・組織に属していること
年役(としやく)経験の多い老人として当然なすべき役目
なまぐさもの 魚・獣肉の類。対するのが精進もの
町方同心(まちかたどうしん)町奉行に属し、江戸市中の警察事務を分掌した
御法度(ごはっと)法律によって禁じられていること、一般に禁止されていること
明き盲(あきめくら)無学で字の読めない人
ちいさこべ 5世紀ごろ,雄略天皇に仕えたという説話上の人物。天皇が蚕を集めて来るよう命じたところ誤って嬰児を集めてきたため,天皇はその養育を命じて小子部連(ちいさこべ)という姓を与えた
悪態(あくたい)わるくち。にくまれぐち
いぶかしい 理解に苦しむところがあり不審に思うさま
双肌脱ぎ(もろはだぬぎ)着物の両袖を抜いて上半身裸になること
自火(じか)自分の家から出した火事
合巻本(ごうかんぼん)江戸後期、文化年間(1804~1818)以後に流行した草双紙の一種。内容は教訓・怪談・敵討ち・情話・古典の翻案など多方面にわたり、子女のみならず大人の読み物としても歓迎された
自身番(じしんばん)江戸市中などで、町内警備のために設けた番所
嗚咽(おえつ)声をおさえて泣くこと。むせび泣き

 ♫ お好きな場面からお聴きいただけるように ♫
(青字の数字をクリックしていただくと、その章から始まります)
       一   0:00    
       二   10:17
   三 20:21
      四 29:41
   五   38:21
      六 48:21
      七 57:30
      八 1:06:52
九 1:15:27
十 1:24:15
十一 1:34:19
十二 1:44:13
十三 1:50:56
朗読会のご案内 2:03:54

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 このチャンネルでは、朗読の途中で広告が入らないようにしているため、YouTubeからの収益は僅かなものですが、その収益を全国の皆様の元へ「ミニ朗読会」をお届けするために使用したいと考えております。具体的に2023年度よりの活動を目指しています。(11月27日に東京で開催決定✨)そこでリスナーの皆様にSuper Thanksからのご支援をお願いしています。
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ご協力の程、どうぞよろしくお願いいたします🙇😊

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🍎またお耳にかかれますように♪ チャンネル登録はこちらからhttps://www.youtube.com/channel/UC4k9WVRQmph1LcWbm3c-FYQ
朗読を聴いて下さる皆様の毎日に、新たな彩りが加わりますように。

◆動画制作に当たって、以下のサイト様の素材をお借りしました。
ありがとうございます。

Sound:DOVA-SYNDROME
   By Fukagawa様、Make a field Music様
    
Photo、イラスト:フリー素材サイト様から
  作品中に使用している写真等は挿絵のようなイメージ画像ですので、ご承知おき下さいませ。
  またタイトルに使用した浮世絵は豊原国周作「東都三十六景の内 大工町」です。

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2 Comments

  1. 暖簾を潜って…
    女将さんお早うございます…
    在所はもうすっかり晩秋…虫の音も細ゞと…
    女将さん所はもっと北ですから桜の葉はもう散りましたか…在所はほとんど散りました今朝は放射冷却で冷え込み最低気温はひとケタです…八甲田は紅葉真っ盛りと在所の新聞が昨日 伝えて下りました…

    「ちいさこべ」ドラマで見ました中村錦之助さん 江利チエミさんの両主人公で懐かしく再放送のCS放送を見ました…(いまいちと思った感想記憶が…時間に制限が有りますから…)
    二時間を超えの大作… ”どんどん挑戦して下さい…“⁉️
    朗読は云いですねェ… 久しぶりの投稿、 嬉しく思います…‼️‼️‼️
    私は朗読会の方が忙しくと…誤解して下りました…が
    大作にも挑戦して繰れて居たんですね…
    嬉しいです…‼️‼️‼️
    楽しく聴かして頂きました… 感動をいっぱい頂きました…‼️‼️‼️

    感動の朗読をありがとうございます❗
    感謝です…‼️
    追伸
    サムネイルの浮世絵 …かな⁉️
    云いですよね‼️
    趣きが有ります…‼️

  2. いつも素敵な作品をありがとうございます!
    ここで完?!、山本周五郎先生の醍醐味とも言えるのでしょうか?w
    続きを切望してしまいます!
    心温まるお話しでした。

    お忙しい中配信ありがとうございました!
    どの作品もYukariさんでしか味わえない朗報です!喉お大事になさって下さい。
    朗読会楽しみにしています😊

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