Discussion with Professor Michael J. Sandel and author Keiichiro Hirano about meritocracy and self-responsibility.
*English subtitles are provided for Japanese.
*The explanation of this program in English is at the bottom.

日本で100万部を突破した著書『これからの「正義」の話をしよう』や、『ハーバード白熱教室』(NHK教育テレビ・現Eテレ)で知られるマイケル・サンデル教授。
最新刊『実力も運のうち 能力主義は正義か?』で、行き過ぎた能力主義、成果主義によって社会の分断が深まっていることに警鐘を鳴らします。

ハフポスト日本版ではマイケル・サンデル教授へのインタビュー番組を制作・配信。
聞き手として対談に参加するのは、最新刊『本心』が話題の小説家・平野啓一郎さんです。 社会にはびこる自己責任論、格差や労働問題など、現代社会の空気がにじむような数々の作品で知られています。

■サンデル教授が指摘する「能力主義」のダークサイドとは?
私たちはこれまでの人生で、「継続は力なり」「努力はきっと報われる」……などといった、一生懸命がんばる人を鼓舞する慣用表現を、何度も当たり前のように耳にし、口にしてきました。
しかし、これらは時に誰かをひどく傷つけ、社会の分断を加速させる危うい側面がある。それがサンデル教授が著書で指摘しているポイントの一つです。

「がんばれば報われるんだ」と信じて努力した結果、成功を勝ち取った人々が「私が成功できたのは、私が努力したからだ」と感じるようになる。
これは反転させると、困難を抱える人たちへの「あなたが辛い状況にいるのは、努力が足りないからだ」という眼差しになりえるからです。
学歴があまりにも重視され、その人がどんな職業についているかが「社会から認められる価値」と結びつき過ぎている世の中は、自己責任論を強め、分断を深刻にします。
番組では「どうしていくべきなのか」を2人がそれぞれの視点で語ります。

■番組で話し合うテーマ。
(1)「能力主義」と日本社会~根強い自己責任論と、傷ついた人々〜
(2)「能力主義」の何が問題なのか?〜謙虚さを失っていく成功者たち〜
(3)「くじ引き」で解決する?~成功における「運」の要素を浮き彫りにする〜
(4)労働の尊厳をどう回復するか?~新型コロナがあらわにしたもの〜
(5)能力主義の弊害を乗り越えるためには?~個人が持つ、複数の「顔」に注目する〜

▼マイケル・サンデル著『実力も運のうち 能力主義は正義か?』https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014804/

▼平野啓一郎著『本心』
https://k-hirano.com/honshin

▼平野啓一郎著『マチネの終わりに』&英訳版 At the End ot the Matinee
https://k-hirano.com/lp/matinee-no-owari-ni/

■マイケル・サンデル教授 プロフィール
1953年生まれ。ハーバード大学教授。専門は政治哲学。コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的論者として知られる。ハーバード大学の学部科目“Justice(正義)”は延べ14,000人を超す履修者数を記録。あまりの人気ぶりに、同大は建学以来初めて講義を一般公開することを決定。日本ではNHK教育テレビ(現Eテレ)で『ハーバード白熱教室』(全12回)として放送されている。著書『これからの「正義」の話をしよう』は世界各国で大ベストセラーとなり、日本でも累計100万部を突破した。

■平野啓一郎さん プロフィール
小説家。1975年愛知県蒲郡市生まれ。北九州市出身。京都大学法学部卒。1999年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞を受賞。40万部のベストセラーとなる。以後、一作毎に変化する多彩なスタイルで、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。2004年には、文化庁の「文化交流使」として一年間、パリに滞在した。
著書に、小説『葬送』、『決壊』、『ドーン』、『空白を満たしなさい』、『マチネの終わりに』、『ある男』、『本心』等、エッセイ・対談集に『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、『「カッコいい」とは何か』等がある。

■Program Title
How can Japan overcome meritocracy?~ Talking about “Justice” in the nation of self-responsibility ~

■Objective
What can be the “cure” for a meritocratic society?
The overemphasis on academic credentials in society which Professor Sandel pointed out in his latest book, is also endemic in Japan. The concept of “self-responsibility” is particularly deep-rooted and violently marginalizes the underprivileged and those perceived as society’s failures.

While Professor Sandel and Mr. Keiichiro Hirano, the interview partner, have very different backgrounds, both have shared concerns over the rising inequality. The two speakers will talk about the challenges in modern society and the key to a better future in a post-pandemic world and cover the following viewpoints: what modesty should the elite have, restoring the dignity of work, and how to integrate “lucks and coincidences” into systems and policies.

■About Keiichiro Hirano
Keiichiro Hirano wrote has written more than 15 novels since his debut work “The Eclipse” for which he won the prestigious Akutagawa Prize at the record age of 23. Keiichiro Hirano is not only an author but in Japan, he is also known as an opinion leader with a background in philosophy.

He is a proponent of Dividualism, the idea that there are multiple sides to a single personality and that by accepting diversity within oneself, one can cope with various events and accept the diversity of society. He wrote his works based on this idea. His deeply psychological fiction deals with profound and universal themes like self-love, relationships and acceptance, and spans from short stories and historical novels to essays, love stories and literary sci-fi. Many of his books have been translated and are widely read in France, China, Korea, Taiwan, Italy, and Egypt.

※9月28日に収録した映像です。

#マイケルサンデル  #平野啓一郎 #ハフライブ

34 Comments

  1. 良き質問と回答。まさに政治家に読んでほしい。
    そして「新しい資本主義」に反映してほしい。

    消費税の逆進性について、回答がなかったのが残念。

  2. 大変わかりやすい説得力のある説明です。私は、能力主義にどっぷりはまってきた人間です。資本主義にもどっぷりつかってきた人間です。サンデル先生の白熱教室にもはまってきました。平野さんとが対話形式だったのでよくわかりやすく素晴らしい。サンデル先生の白熱教室のように平野さんや、サンデル先生に反論する人がいるともっと議論が白熱するかも。

  3. 能力主義というか、能力結果主義が悪い。
    能力が低くて他者が望むような結果が得られなくても、その人の働きや尊厳は認めるべき。そうすれば自然と分け合うという発想が生まれるはず。

  4. ノブレス・オブリージュと言うんですかね。勝者は社会の代表で、社会的責任を負うといった思想が広まれば、自己責任論はある程度解決すると思います。要は、勝者が利己的で、敗者に不当な押し付けをしているから分断するわけだし、国が予算を投じて、社会経済的に勝者に相応の社会的責任を負わせ、敗者復活のチャンスを与えれば格差が縮まり、好循環が生まれるのではと考えます。

  5. 全国民のことなんて崇高なこと考えてられません。
    私は正直、実力主義だろうが、世襲だろうがどうでもいいです
    自分や私の周りさえよければ、自分が一生接さないような人のことまで考えてられません
    私は自分さえ勝てればそれでいいです。細々と生きていきます

    でもこうして正義を語ってくれる人がいるから世界は少なからず良くなっていくのでしょう
    サンデルさんありがとう

  6. 大人になったら自分で選択し行動した事に関しては全て自己責任である事は確かで、何より日本人の一部で救いようの無いのは
    「親ガチャ」などと言う人達で自ら努力しようという事を放棄している。
    人が同情出来るのは先天的な事か犯罪の被害にあった、災害にあった事でこれはもちろん自己責任ではない。
    誰のせいでも無いなら全て自分の責任になるのが現実で無慈悲であろうと受け入れないといけない。
    大事なのはそこからどうするのか自分で決め、人生の質を向上出来る様努力する事だと思う。

    自分も勉強出来ないし母子家庭で大人になってもブラック企業勤めで貧乏な時代を過ごしてきたけど転職をして資格を取り今の普通の生活を手に入れたから
    大事なのは自分の意思と行動と努力だと思うよ。

  7. 視聴するのが遅くなってしまいましたが、大変面白かったです。平野さんのまとめと質問が的確で、実りの多い対談になっていると思いました。サンデルの本を手に入れて読んでみようと思います。実力主義と能力主義とmeritocracyは少しずつ意味が連れながらもほぼ同じことを意味している事、その功罪について、その欠点の克服方法について、面白いお話でした。分人主義に関連付けるところ、さすが平野さんだとおもいました。

  8. 努力と才能をどの方向で使うのか。
    それによって生み出されるメリットをどの方向に還元するのか。
    その→方向が自分に向いているのか、それとも社会に向いているのか?
    そして、その→の方向のどちらが幸せなのかは必ずしも個人的なことではないということを理解することが大切なのではないだろうか。

  9. 目新しさのかけらもない本だった。買う価値はない。
    中世から偉人たちがずっと繰り返してた自由意志に関する議論の一部を現代社会に応用させただけの本だ、ある程度知識があれば誰でも書ける。こんな本を読むくらいならもっと読むべき本がある。

  10. グローバル化で取り残される方々が沢山居ます!
    なので取り残される側を選びました!
    ただ学びは大事です
    学校は数学、国語とコミュニケーション能力
    学校行ってないので分かりませんが。学びって言っても沢山あります!初めに戦争の歴史を学んで欲しいです。

  11. この人Twitterでリプ封鎖してたなぁ。
    反対意見は聞きたくないってか?

  12. 支配するか(コントロールする)、支配されるか(コントロールされる)。 人権を持つ(獲得)事が出来るか、家畜(国家権力の財産)にされるか。いいとこ、現金(マネー)と言う鎖につながれた奴隷にされるか。

  13. 左派はある時は年功序列で女性活躍が阻害されていると主張し、またある時は日本は自己責任論が強いという矛盾

  14. これは今思えば武田さんが常々おっしゃってましたね。
    今の会社は、社員や社長の為の会社ではなく株主の為の会社になってしまっていると

  15. 能力主義とやれるだけ頑張ろうぜ主義の人たちがチームで争いあって
    個別で見たら全廃する頑張ろうぜ主義者の人たちが
    何世代にもわたって反映していく漫画が見たい。

  16. 今学生でこれを聞いてる人は「暇潰し」という名目で
    クラス中全員と能力主義について聞いて回ってほしい。

    親とか兄弟とか夢とかそれから能力主義について。

    不良どもや話しづらい人と接点を持つことで「意外とまともじゃん」って気づいて欲しいし、
    逆に「優しい顔して欲求をぶつけてくる無自覚ないい人」の特性に気づいてほしい。
    HSP系統の人はお勧めしないけど、、

    僕が学生に戻れるなら部活なんかしてないで彼らと話したい。
    他人を省みず生きて本当に他人に省見られない人になったから
    そういう緩やかな時間をすごしたい

  17. この本が売れたのって画期的だからというより今まで自己責任論者に封殺されてた非差別民の意見を権威ある立場から代弁してくれたのがスカッとするからという理由が大きそう

  18. 個人が好き勝手するから社会で連帯責任だったのに、それがキツくなって社会が個人に責任転嫁して自己責任に戻っただけ。
    そんでまた社会は個人の好き勝手に再びドン引きして、糞マジキツイやっぱこちらで責任持ちますわってなって、歴史は繰り返す。

    そして、個人は
    自己責任の時は、自己責任マジ糞やなって言うし
    連帯責任の時は、連帯責任マジ糞やなって言う。

    世は事もなし。

  19. It is interesting topic for me. 日本いては女性だと将来はないと20年以上前日本を出る道を模索し、after backpacked Europe, Northman Africa and Asia. New York在住で、自分で働き出し、経験を踏まえこれからガンバっていきたいと考えています。高校は、元首相の娘さんが出た学校ですが、テストで受かった以外は何も他の学校と変わらず公立に通い、進路相談で早稲田とか頑張ればいけると言われわたし、女の子にそこまでの教育を信じてない母親には学費を支える興味も無く、奨学金も情報も無く、そこから色々考えて今に至りますが、あのまま日本にいなくてよかったと思いますが、英語、市民権も仕事を通してとりました。努力をすれば報われる国であって欲しいと思いますし、それをつくっていくのが課題だと思いますが、同時に努力の仕方を知らない人を多くみてきました。
    私は親がお金を持つ子供というより、親が貧しいマインドセットの環境で育っている子供は、投資やビジネス経営遠している親の元で育ち、何を自然に吸収しながら学びながら人生の選択をしているかの大きな違いが現れるのをみています。それでも民主主義社会で競争社会でありがたいと思っています。そうでなければ外からは入れませんので。それでも社会的弱者の方でトラウマや精神、身体的問題など将来女性特に支える側になれればとと思っています。が、多くの政府のシステムに頼らざるをならない人は、自分のタレントや、どうして自己実現していくか、そのための忍耐、継続力などを教わる機会の欠けながら育っている様に思います。まあそれが経済格差なのでしょうが。
    アスリートが肉体的に優れて、メジャーリーグに行くことを実現出来る人材は、現在野球が食べていけないスポーツなら、他の成功出来る生き方を簡単に見つけると思うので、野球とかよりやはり個人の優秀さだど思います。私も少しスポーツで世界トップのトレナーにつき何年か競争していましたが、何が可能性で現実かは常にわかっていましたし、全てはマインドセットではないかと思います。残念ながら経済格差は家庭内で話して居る情報が子供の将来形成を貧しくして居ることに気付いていません。と思います。

  20. 能力主義や自己責任論を拗らせると謙虚さに欠ける人間になりかねない。

    実力も運のうち論を拗らせると他人の成功を妬んだり一生懸命努力してる人間をバカにする事しか出来ない共産主義者みたいな人間性になりかねない。

  21. とても元気をもらいました。多分、世界的にはめずらしい「ひきこもり」の若者・壮年の問題の解決糸口となるかもしれないと思いました。また、本当はそのケアが人間の一生を左右しかねないくらい重要な乳幼児期の子どもを預かる保育士の社会的地位の低さにも目を向けて下さり、本当に日本の現状・問題点を理解されていると思いました。

  22. 「私はみんなが遊んでいるときに我慢して遊ぶ時間を犠牲にして勉強に時間を通して努力した」とか、「わたしは才能があったわけではなく、努力したんだ」っていう発言が天才からありがちだけど、
    その努力をできることすら、努力する才能を持ってるってことなんだよね。
    怠惰になる意味ではなく、自分はあの人のように努力ができない価値の無い人間だというような無意味で非生産的な自己否定を繰り返す必要がなくなるから素晴らしいと思う。
    残酷でもそれは事実なんだから、子どものうちから伝えるべきだと思う。それに気づかずに何時間勉強した??と言い合ったり、あの人はできてるのに、とずっと自己嫌悪、自己否定して生きてきたから、それを早々に知っていたら、無駄に自己否定せず、自分の特性を見極めて有効な分野での努力を早いうちからできていたのに。

  23. ウサインボルトの登場から努力よりも才能が大きいという考えが主流になりましたね。
    そもそも太るのも《生まれつきの体質(肥満の才能)+必要最低限の食費》でしょうし。
    金持ちの家なら、もっと太るかと言えば、全然そんな事無いですよね。
    今でもフロイド・メイウェザーなんかは熱烈な努力教信者です。

  24. 社会はバランス感覚を欠いている、金融機関がもてはやされるようになった、辺りは特に共感した。人を惨めにする社会から、労働に誇りを持てる社会へと価値観を取り戻す意見も賛同する。
    しっかし、この本難しいのよね。わからなくてダイジェスト版としてこの動画を見たけど、だれか、解説してくれないかなー。ハイエクやロールズの辺りで混乱してまふ。。。

  25. 知らんな。ついでついでで溶かしまくった。
    世のため人のためとか、もううんざりなんだよ!!
    だからそちら側に戻る気はさらさらない
    好きな事しかやらないわ

  26. サンデル教授の考えには100%以上共感するのですが、これを世の中の常識にしていくのは至難の技です。世界に共通する道徳をどのように世に伝えるかの方法も議論して頂きたいです。

  27. 面白かったです。次の時代を創る上で、避けて通れない一面を今一度洗い出してくださっている感があります。感染症騒ぎは、医療やモノが滞ることで、一人ひとりの労働が無数にタイミングよく繋がって私達一人ひとりの暮らしは成り立っていることを再認識するのに良い機会でした。
    権力と富がガッチリ結びついて、おかしな事がまかり通る世界ということも、明らかになりました。
    能力主義のみに偏る単純な思考が見せるこの幻想は、今の世界のおかしな部分をを形創った一因かもしれません。
    ただ、あまりにも提示されている解決策が脆弱に思えます。極一握りの成功者に深い思考を求めるだけでは世界は変わらない気がします。皆でアイディアを出し合い、道を探りたいですね。

  28. なんだか違和感を感じるのは、能力主義に疑問を抱くようなリベラルな人が大概、知的能力の高い人であること。 
    この考えを押し付けると、能力の低い人をかえって排他してしまうという皮肉なことが起こらなければいいけど。
    あと、保護されるより保護する側のが上みたいな価値観は出てきそう。

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