Google Cloud Next 2026はアメリカ・ラスベガスで、4月22日から24日まで開催された。撮影:西田宗千佳
グーグルのクラウドインフラ事業を担当するGoogle Cloudは、アメリカ・ラスベガスで年次開発者会議「Google Cloud Next 2026」を4月22日から24日(現地時間)まで開催した。
同社のトーマス・クリアン(Thomas Kurian)CEOは会の冒頭で次のように述べた。
「1年前、私たちはこの同じステージに立ち、AIの新しい未来を約束しました。今日、その未来は世界がこれまで見たことのない規模で現実のものとなろうとしています」(クリアンCEO)
今回のイベントで、Google Cloudは「AIエージェントへの全力投球」を宣言した。ある意味業界全体の動きを追いかけたものと言えるが、投資規模や影響の大きさから、グーグルの本気度は無視できない。
イベントでどのようなことが語られたのか、振り返っていく。
新チップも公開「エージェント」のニーズ拡大に対応
Google Cloudのトーマス・クリアンCEO。撮影:西田宗千佳
そもそも、グーグルが全力投球を決めた「AIエージェント」とはどのようなものだろうか。
複数の定義があるが、ここでいうAIエージェントは「持続型」「長期駆動型」と呼ばれるものが多い。企業の中で特定のニーズを満たすために動き続け、指示に合うような作業を続けるAIだ。
AIが特定の何かを生成する、という仕事ではなく「人間に作業をお願いする」のに近い形だ。
人間と違うのは、細かい作業単位でエージェントが動いていて大量に存在すること、そして、文字通り「持続的」に動き続けることだ。
その結果として、AIを必要とするタスクはさらに増え、AIの推論処理ニーズは拡大する。AIを作るための学習処理も、まだまだ続く。規模は大きくなる一方だ。
クリアンCEOは「巨大な演算資源を持ち、フロンティアモデル(最新・先端のAI)を持つ企業だけが、独自のプロセッサーを含めた統合的な環境を提供できる」と語る。
インフラから製作環境まで、トータルで対応できるのがGoogle Cloudの強み。撮影:西田宗千佳
グーグルは独自のAI処理用プロセッサーである「TPU」シリーズを作っている。2026年も最新版である「TPU 8」を発表したが、今回初めて、学習用(TPU 8t)と推論用(TPU 8i)にプロセッサーを分けて発表した。
新しいAI処理チップ「TPU 8」シリーズ。写真左が推論用の「TPU 8i」を搭載したボード。右が同じく学習用の「TPU 8t」を搭載したボード。撮影:西田宗千佳
クリアンCEOは記者とのラウンドテーブルセッションで、プロセッサー戦略について次のように答えた。
「長い期間をかけて作ってきたので2026年特有の傾向というわけではない。学習と推論は著しく異なる用途なので、それぞれを分けた。そして、それぞれの規模がどんどん大きくなる傾向がある」(クリアンCEO)
特に推論用の「TPU 8i」については、最大1152個のチップを相互に接続しつつ、通信負荷の高いワークロードの遅延を最大50%改善している。大規模な推論処理の応答が遅れることを改善しようとしているわけだ。
投資額は4年で6倍、グーグルは新ソフトの75%をAI開発
グーグルの投資額も拡大中だ。
グーグルのスンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEOは、基調講演にビデオメッセージの形で登壇し、設備投資額の変化について次のように語った。
「2022年の設備投資額は310億ドルだった。それが2026年は、1750億ドルから1850億ドルになると計画している。わずか4年の間に、約6倍に増加した」(ピチャイCEO)
2026年の投資額は1750億ドルから1850億ドル。4年で6倍に増加。撮影:西田宗千佳
これは、AIに対する需要が爆発すると読んでの動きであるが、そのことが自社にも大きな影響を与えている。グーグル自身が提供するソフトウェアの多くをAIが作るようになっているからだ。
「現在は、グーグルが作る新しいコードの約75%がAIによって生成され、エンジニアによって承認後に使われている。この動きは、2025年秋と比較して、50%増加している」(ピチャイCEO)
グーグルが作った新しいソフトのうち、75%がAI生成。それを人間のエンジニアがチェックし、承認したのちに利用された。撮影:西田宗千佳
多くの作業がAIベースになり、ソフトもAIで作りつつ人間が確認、というやり方が広がっていくとするならば、これだけの投資をして市場を取りに行く意味がある、ということになる。

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