ミニマル金融のススメ

【ミニマル金融のススメ】

我妻 佳祐

我妻 佳祐
ミニマル金融研究所代表

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2026.4.25(土)

 ここしばらくの間「NISA貧乏」という言葉がメディアを騒がせていました。

 NISA貧乏とはなにかというと、生活費や自己投資の資金を削ってまでもNISAの枠を埋めることを優先する若者の生き方を批判的に表現した言葉で、要は「投資なんかするよりも若いうちはもっと大事なものに金を使え!」ということです。

 私は大学院(修士課程)まで行ったため就職したのが25歳とやや遅く、大型バイクのローンもあり、20代の頃は基本的に金がありませんでした。当時仮にNISAがあったところで積立はできなかったし、しなかったとは思います。しかし、当時でも堅実な人は財形貯蓄などをしっかりとしており、結局は人それぞれでしょう。

 個人的には、20代のうちから無理に投資をする必要はないと思っています。以下の図表は内閣官房が作成したものですが、諸外国に比べてもやはり日本は「年功序列」の傾向は強いようで、30代後半から40代に賃金が急上昇する傾向があります。

(写真:ideyuu1244/イメージマート)

30歳までにNISA枠1800万円を埋めたら70歳には2.7億円

 資産形成が早ければ早いほど有利なのは間違いありませんが、老後資金が本当に必要になるのは70代以降であることを考えれば、40代から始めても決して遅いということはありません。

 単純計算では、30歳までにNISAの枠1800万円を埋めてしまい、全世界型インデックスファンド(年リターン7%)で40年間運用すれば、70歳時点で2.7億円になります(実際はリスクがあるので上下にブレます)。

 これだけの資産があればさすがに老後困ることはなく、世界一周クルーズに出かけたりもできるでしょう。ただ、それが若いうちの貧乏旅行と比べてどちらに価値があるかは難しい話です。

 30歳までにNISA上限の1800万円を貯めようと思うと、働き始めてから毎年の上限である360万円に近い積み立てをする必要があります。平均的な20代の年収を考えれば、それこそ「爪に火をともすような」生活をしなければ達成できない金額です。当然、旅行に行っている余裕などはないと思われます。

 また私の個人的な話で恐縮ですが、ローンで買った大型バイクで夏に北海道半周旅行をしたことがあります。あれはいままでの人生でも最も楽しかった記憶のひとつなのですが、では70代になってからの世界一周クルーズがそれより楽しいかといわれると、どうもそんなこともないような気がしますし、70代になってからバイクで北海道旅行をするというのも現実的ではないでしょう。

 そうしたことを考えれば、お節介ながら、「無理してNISAするより、いまはもっとお金使っていろんな経験積んだ方がいいよ」と中高年目線からの説教をしたくなる気持ちはわからないでもありません。

 300万円の資金をNISAのインデックス投資信託(年利7%想定)で30年間運用すれば2000万円以上になることが期待できますから、賃金が低い若いうちは無理に投資をせず、賃金が上がって貯蓄に余裕が出始める40代から資産形成を始めるというのもひとつの合理的な考え方です。

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