【4月21日 東方新報】「当時、オートバイ業界は決して注目の投資分野ではなかった。それでも投資を決めたのは、張雪の確かな専門性と粘り強さに心を動かされたからだ」。浙江省創業投資集団(Zhejiang Venture Capital Group、以下、浙創投)の程俊華(Cheng Junhua)総経理は語った。
このほど、世界スーパーバイク選手権(WSBK)ポルトガル大会で、フランス人ライダーが中国のバイクメーカー「張雪機車(ZXMOTO)」のマシンでSSPクラス(中量級クラス)2連勝を飾り、大きな注目を集めた。
「張雪機車」が注目を集める中、その背後にいる投資チームにも関心が集まっている。程氏によると、浙創投が最初に目を留めたのは、ブランドではなく創業者の張雪(Zhang Xue)氏だった。きっかけは2025年8月、チームにいた1990年代生まれの若手投資マネージャーが、オートバイ好きの立場から程氏に一本の動画を見せたことだった。
この執念に投資チームは心を動かされ、まずは張雪氏に会ってみようということになった。「最初は大ざっぱな性格にも見えて少し不安もあったが、その後、この決断が早く行動力のある性格こそが、仕事の効率を高め、市場の変化にも素早く対応できる強みだと分かった」と程氏は振り返る。
投資チームを最も強く引きつけたのは、張雪氏本人の圧倒的な専門性だった。彼は目を閉じたままでも、ばらばらの部品からエンジンを一基組み上げることができるという。好きだからこそ身に付いた、その極限まで研ぎ澄まされた集中力は、起業家の中でもとりわけ貴重なものだった。
ただし、ベンチャー投資は最終的には事業価値の見極めに立ち返らなければならない。浙創投のチームはデューデリジェンスの過程で、オートバイ業界の成長性、張雪機車の技術路線、チームの経歴を詳しく分析した。そして、このニッチな分野の中に大きな成長余地を見いだした。2024年、中国の大型バイクの生産・販売は40%以上の伸びを示し、単なる移動手段から、レジャーや文化的なシンボルへと変化する流れが鮮明になっていたからだ。
2026年1月、浙創投はシリーズAで9000万元(約20億8054万円)をリード投資し、張雪機車の投資後評価額は10億9000万元(約251億9774万円)となった。当時、張雪氏は中核技術の壁を突破するため、研究開発に約7000万元(約16億1820万円)を投じ、技術革新に伴う赤字も一時的に背負っていた。この資金調達は、まさに絶好のタイミングだった。
程氏は、張雪氏の成功そのものは簡単に再現できるものではないとしつつ、その背後にある投資判断の考え方には学ぶべき点があるとみている。「私たちは張雪機車のような中国発の企業をもっと見つけ、その成長を支え、ともに歩んでいきたい」と語った。
現在、中国のベンチャー投資業界では、長期目線と価値重視の投資姿勢が主流になりつつあり、市場全体の雰囲気も持ち直している。浙江省を例に取ると、同省では長期的で腰を据えた資本の生態系づくりを進めており、各種ファンドに対して「早い段階で投資する」「小規模企業に投資する」「ハードテックに投資する」「長期で支える」といった方向へ誘導している。政府系誘導ファンドの中には、存続期間を最長20年とするものもある。こうした腰を据えて将来を見通す資本の存在が、中国の先端技術企業が世界へ出ていくうえで、さらに大きな後押しとなっている。(c)東方新報/AFPBB News

WACOCA: People, Life, Style.