パルクールアーティスト、ZEN。鉛の柱ではなく、メトロノームのようなしなやかさを

パルクールZENに聞く「揺らぎ」を乗りこなす心身の整え方。80を基準にするウェルネス哲学

「動じない心」や「最強の体幹」と聞くと、多くの人は何が起きてもピタッと止まり、一歩も動かない鉛の柱のような状態を想像するだろう。しかし、ZENの考え方はその対極にある。

「かつては僕も、揺るがないものが正しいと思っていました。でも、実際は違う。心も体もメトロノームのように、常に一定の幅で揺らいでいるのが自然な状態なんです。大きな挑戦をすればするほど、その揺れは大きくなる。それを無理やり力で制御しようとするのは、精神にも筋肉にも強い負荷がかかり、長続きしません」

ZENが重要視するのは、ブレを止めることではなく「ブレても戻す方法」を知っていることだという。

「体幹に力を入れ続けることは不可能です。大切なのは、揺れている状態を乗りこなすこと。フラットな状態とは、静止していることではなく、揺らぎの中で常に中心へと修正し続ける技術のことなのです」

120%を目指さない。怪我から学んだ「80%のフラット」

アスリートとして最高のパフォーマンスを追求する中で、ZENが辿り着いたのは「100%を基準にしない」という意外なルールだった。

「調子が良い時というのは、実は危険な状態でもあります。気持ちが盛り上がりすぎていると、足が軽いからいつもより高く跳べる、といった過信が生まれ、判断を誤りやすい。だから僕は、常に80%のパフォーマンスを自分の『フラット(基準)』に設定しています」

かつて世界大会でトップを争う中、120%の力を無理に出そうとして2年近いブランクを要する怪我を経験した。その教訓が、現在の彼の思考回路を形成している。

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