妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

新年度が始まりもうすぐで1週間。全国の職場では新入社員を迎えた研修が本格的に始まっています。厚生労働省の調査では、大学新卒者の就職後3年以内の離職率は33.8%であることが明らかになっています。

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新入社員の早期定着が企業の急務となる中、研修担当者が直面するのは「指導」以前の問題だと嘆く声も聞かれます。

今年初めて新人研修担当に抜擢された横山るりさん(仮名・42歳)も、その一人です。男女それぞれの新入社員の面倒をみる中で、特に男性のAくんの言動に「唖然とすることの連続」だと話します。

「こちらが話をしていてもスマホを触るのは日常で、何度注意をしてもうんでもすんでもない。私なら、『すみません』の一言くらい言いますけどね。それすらない」

挨拶も一度では返ってこず、入社からわずか数日でAくんはすでに2度の遅刻。

「1分とか5分くらいは遅刻だと思っていないんだと思う」とるりさんは言います。

その様子は、同じ部署に配属された女性の新入社員もびっくりするほどだったと言います。さらに困るのは、午前中は寝起きのようなぼんやりした様子で、午後にならないとスイッチが入らないこと。指示した内容は翌日には頭から消えており、メモを取るよう促すと——。

ー覚えてられるんで大丈夫っす。

「1週間経たずに疲れちゃいました。感じるのは、これまで親にろくに怒られてこなかったんだろうなってこと。そこそこの大学を出ていても、当たり前のことが出来ない人がいる現実を目の当たりにしています」

そんなAくんがある帰り際、それまでの無気力がうそのように意気揚々と話しかけたそう。

ーGWですけど、30日と1日休めば、8連休にすることできますよね?休みは権利ですよね?

「びっくりしました」とるりさん。労働基準法では、年次有給休暇は入社から6ヶ月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に初めて付与されると定められています。Aくんにその知識はなく、るりさんがそう伝えると——。

ーえー、まじっすか。ママに帰るって約束しちゃった。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう指摘します。

「有給休暇の付与タイミングはインターネットで調べられる基本情報です。わからなければ聞く、聞けなければ調べる。今回のケースのように仕事以前の常識を会社や先輩が教える場面が増えていると昨今、よく耳にします」

「別に仕事がいきなりバリバリできなくても、当たり前のことをきちんと当たり前にやってくれるだけでいいんです。これって高望みなのかしら」と苦笑いするるりさん。もしかしたら名の知れた大企業なら違うのかもしれない、とも話します。Aくんとの研修はまだ始まったばかりです。

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】

山本康裕 PHOTO:Getty Images 【出典】厚生労働省|「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

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