顧客とともに事故を未然に防ぐサービスを提案

2026/04/09 05:00

金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

太陽光発電向けの保険については、契約条件が厳しくなっているとの声が多い一方、自然災害のリスクを減らす新たな商品企画も出てきた。東京海上日動火災保険は、太陽光パネルから除雪した場合に一時金を支払う特約を商品化、さらに、法改正で設置が可能になった系統用蓄電池の分野でも保険を提供し始めた。同社の細谷淳マネージャー(火災・企業新種業務部 企業財産保険グループ)、宇佐美嘉彬ユニットリーダー(同部火災第二グループ)、田中健太ユニットリーダー(グリーンビジネス本部 ビジネス開発室)に最近の傾向や今後の戦略などを聞いた。

10~15のヒアリングでリスク評価

――太陽光発電事業者からは、保険料が高くなって、事業性を圧迫しているとの声をよく聞きます。太陽光向け保険はどんな状況なのでしょうか。

東京海上日動 固定価格買取制度(FIT)が始まって以降、太陽光発電所向けの保険契約は急増しました。保険料の支払いが目立って増えたのは、2018~19年の大雨や台風による水害からで、その後、2020年前後には大雪、さらにここ2~3年はケーブル盗難という具合に保険金支払額の大きなトラブルが継続して起きています。

 さらに、ここに来てFIT期間も終盤に近付き、O&M(運用・保守)が不十分で雑草が繁茂し、枯草が燃えて起こる火災事故も時々見られます。こうしたなかで太陽光発電所向けの保険事業の収支は厳しい状況が続いています。これは他の保険会社も同様だと思います。太陽光向け保険の条件が厳しくなっているのはこうした背景があります。

 とはいえ、サステナビリティ社会の実現に貢献する再生可能エネルギー分野は、東京海上日動として重視しており、引き続きサポートしていきたいと考えています。

――保険の料率は、どのように決まるのですか。また、更新時に免責額が大きく上がってしまい、保険の意味がなくなっているとの声もあります。

東京海上日動 太陽光発電所向けの保険は、大規模向けには「企業財産包括保険」、中小規模向けには「超ビジネス保険」と、大きく2つに分かれます。料率は、参考準率をベースに各社の引受ポートフォリオによって標準料率が決まります。これは太陽光設備に限りません。加えて、太陽光の場合、立地や設置状況によって案件ごとにリスクが大きく異なるので、ヒアリングシートに基づいてリスクを評価し、料率幅を変動させます。質問は10~15個です。こうしたリスク評価は、大規模案件の場合、実地調査の上で個別対応も可能ですが、中小規模の場合、ある程度、汎用的なものにならざるを得ません。

 「免責額が大きく上がってしまい…」との声があるとすれば、災害や事故によって大きな支払いが発生した案件だと思います。リスクに応じて保険料を負担してもらう、という公平性の観点から、過去に事故があれば大きなリスクと見なされ、免責額が引き上げられることが一般的です。これも太陽光設備に限りません。逆に何事もなく、リスク水準に変化がなければ、更新時に免責額が引き上げられることはないと思います。

水害で損壊した川沿いの太陽光発電所

水害で損壊した川沿いの太陽光発電所

(出所:日経BP)

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