資生堂は、アジア最大級の広告コミュニケーションフェスティバル「Spikes Asia 2026」において、Design部門でグランプリ、Print and Publishing部門でブロンズの計2賞を受賞した。地域文化の保存と日本の美意識を現代的に再解釈した作品が評価された。
Design部門のグランプリに選ばれたのは、香川県高松市・男木島の食文化「男木みそ」を保存するプロジェクト「BEST AFTER 2055」。高齢化により存続の危機にある島の家庭の味を缶詰として記録し、「消える前に残す」という問いを提示した。
缶の天面に刻まれた「BEST AFTER 2055」は、文化が途絶える可能性がある時点を象徴する表現だ。単なる食品化ではなく、文化継承の新たな手法として設計された点が高く評価された。Design部門には109作品がエントリーし、10作品の受賞の中で最も高い評価を得た。
資生堂は瀬戸内国際芸術祭を契機に男木島を訪問し、地域の現状に着目して本プロジェクトを企画した。島民とともに文化を保存する体験を設計し、「男木島らしい男木島を残す」ことを目指した。
一方、「MAKEUP CALLIGRAPHY」はPrint and Publishing部門でブロンズを受賞した。書き初めを題材に、化粧品の使用感を想起させる音や質感を融合。漆黒の造形と独自の書体で、視覚と感覚を横断する表現を実現した。
色彩を排した設計により造形と質感を際立たせ、日本の美意識と現代の美容概念を重ね合わせた点が評価につながった。同作品は資生堂クリエイティブの年賀状として制作され、関係者に約900通配布された。
資生堂は「一瞬も 一生も 美しく」を掲げ、2030年ビジョンのもと、人とのつながりの中で新たな美の創造・共有を目指す。今回は、地域文化の継承を社会課題としてデザインで表現し、日本の美意識を現代的に再解釈した力が評価された。
