ホテルの格式ある名門バーは、お酒が主役というものの、実は通い詰める人もいるほど魅力的なバーフードを提供するところもある。ダイニングとはまた異なる静かでプライベートな空間のバーで食べるのが好きというのもあるだろう。雰囲気が楽しめる名門ホテルのバーで出される工夫されたおつまみなど美味なる食事メニュー。隠れた贅沢(ぜいたく)を感じるバーフードをご紹介しよう。
東京・虎ノ門にある「オークラ東京」のメインバーである「オーキッドバー」は、1962年開業の「ホテルオークラ東京」(2019年に改装を終え「オークラ東京」として再開業)にあったメインバーの面影が残ったままだ。違いと言えば、外から光が入るようになって少し明るくなったが、重厚な雰囲気が漂うオーセンティックなバーである。
神代ニレの木を使った13メートルの一枚板のカウンター、銅板のテーブルなどはそのまま。椅子は革だけを張り替えて使っている。オーキッドの照明はレプリカ(元のバーにあったものは「ヘリテージロビー」の正面に移動)だが、柔らかな光は昔から変わらない。
そんな正統派バーの一品として薦められたのは「雅結寿(みやびゆいのじゅ) DASHIバター」だ。世田谷にある「飲むおだし」の専門店が九州産生乳に素材を入れて、脂肪分を調整しながら攪拌(かくはん)しバターにしている。
「ラムレーズン&クランベリー」「黒豆酒粕」「梅塩昆布」「かつお醤油」の4種類(それぞれ2ピース800円)。ここでは、薄いゴマ入りの黒クラッカーにのせて供する。一口食べるとまずとろけ、それぞれの出汁(だし)となる素材のうま味が口中に広がる。その風味だけでお酒がいけてしまう。ちなみにおすすめはスコッチウイスキーだという。
もう一つ、シンプルなのに一緒に口にしたお酒が何倍もおいしく感じられるフードは、「オークラ牛のソフトジャーキー」(3500円)。同ホテルでは、一般より長く生後32カ月まで飼育したオークラ東京限定のブランド黒毛和牛を一頭買いしているため、無駄が出ないようにモモ・肩をホテルで熟成させてつくっている。生マスタード、中東のデュカスパイス(ナッツにクミンやコリアンダーを混ぜてある)で「味変」も楽しみながら、ちびちびとお酒を飲むのは至福の時間だ。
また、名物の「ビーフストロガノフ バターライス添え」(4500円)などご飯ものや麺類も充実している。営業時間が午後3時〜午前0時と長く、これらの食事に近いメニューをさっと食べて、一杯だけ注文してというお客様も多いという。伝統のバーでの食事にスマートな流儀ありだ。
※価格は税サ込。2026年4月から価格改定予定
