文/山本真由 写真/原務  制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA DIGITAL ADセクション

 東京・大手町にたたずむ塔の日本旅館「星のや東京」。

そのメインダイニングで、日本各地の家庭料理を再構築したコースが味わえると評判だ。

総料理長・岡亮佑が、失われゆく味を現代のCuisineへと再構築する。その思想に迫る。

「星のや東京」のメインダイニングで昨秋よりスタートした新たなディナーコースのテーマは「もう作られなくなった日本の家庭料理」だ。

 総料理長を務める岡 亮佑は、多様な日本の食文化のなかでも、現代のライフスタイルから姿を消しつつある家庭料理の味にこそ、その土地ならではの風土や知恵、発想が色濃く反映されていると考える。各地の家庭料理を調べるうち、「知らなかったことのほうが多い」と気づかされた。

「昔の料理は美食を追求するものではなく、生きるための知恵でした。この食材をどう食べるか、どうやって冬を越すか。目的地が違えば出発点も違う。いまの料理人には思いつかない発想ばかりです」

 地方の家庭料理を知ることは、いまや彼のライフワークだ。各地を訪れる際は道の駅や食堂を巡り、生産者や料理人から土地の食べ方や背景にある物語を聞き出す。家庭料理は地元では当たり前すぎて語られにくい存在だが、そこにこそ地域の記憶が宿る。食材選びで最も重視するのは“人”であるとも話す。「直接会った方や、信頼できる紹介でつながった方のものを使うことが多い。誰からいただくかで向き合い方は変わります」。食材は単なる素材ではなく、関係性の結晶でもあるということだ。

 コースの構成はフレンチの流れを意識し、前菜から主菜へとうま味を重ねていく設計に。

「フレンチを表現したいわけではありません。自分が学んできたのがフランス料理なので、うま味をどう着地させるかという軸がそこにあるだけです。日本の家庭料理を、最終的に心地よい“おいしさ”へ導くための軸のようなものです」

 東京でこのテーマを掲げる意味も大きい。寿司や天ぷらといった江戸前はすでに専門店化している。岡は江戸料理の成り立ちに着目する。参勤交代で各地の大名と料理人が集い、地方の食材と技が交わることで江戸料理は形成された。全国から人と文化が集積することこそ“東京らしさ”と考える。大手町という都市の中心、日本旅館の静謐(せいひつ)な空間で全国の家庭料理を再構築することは自然なことだった。

 また、華やかな演出で驚かせるのではなく、落ち着いた空間でゆっくりと味わう時間を届けたいと岡は語る。温泉で身体を解きほぐし、滞在着のまま個室で語らう。料理を味わいながら「へえ」と声が漏れ、「面白いね」と笑みがこぼれる。おいしさの先にあるのは、知的好奇心の刺激と心身のリフレッシュ。それこそが、星のや東京のダイニングが目指す体験なのだ。

星のや東京 ダイニング

 地下1階に広がるメインダイニング。エレベーターを降りると、地層を思わせる左官仕上げの壁と大きな御影石が視界に広がり、静かな驚きを誘う。

 畳敷きの個室6室とテーブル席4卓を完備。滞在着のまま肩肘張らずに美食を味わえる空間だ。

星のや東京 ダイニング

東京都千代田区大手町1-9-1

星のや沖縄 ダイニング

 沖縄の食材と地中海の技法が交差する「琉球ガストロノミア〜Bellezza〜」のコースを提供。

 海と白い砂浜を連想させる開放的な空間で、食材の持つ力を引き出し健やかな美へといざなう独創的な料理が味わえる。

星のや沖縄 ダイニング

沖縄県中頭郡読谷村儀間474

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