2026年度の公的年金の支給額は、前年度比で国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げ改定になる。4年連続増額だが、物価上昇率や現役世代の賃金上昇率を下回り、実質目減りとなる。改定ルールを踏まえると今後3年は同様の「インフレ負け」が続き、年金財政健全化のための給付抑制も一段進む可能性が高い。

本来ルールとマクロ経済スライド

 リタイア後の高齢者家計はインフレに弱くなりやすい。このため、公的年金は物価上昇にある程度対応できるよう、決まったルールに従って、年度ごとに年金額を改定している。

 年金額の水準への関心は高くても、ルールについては無関心という人は多いが、老後資金計画の基礎になるため、基本は確認しておきたい。

 ルールは「本来ルール」と「マクロ経済スライド」の二つからなる。

 本来ルールは、賃金(名目手取り賃金)や物価水準の変動をもとに、現役世代の賃金水準とのバランスを保つのが狙いだ。賃金変動率は2~4年度前の賃金動向を平均したものを基礎に算出する。物価変動率は前年の消費者物価指数の上昇率を使う。

 原則は「67歳以下」は賃金変動率、「68歳以上」は物価変動率に応じて改定する。

 この年齢区分には少し説明が必要だろう。年金額は原則65歳到達時点の水準を基準に決まる。だが、賃金変動率は2~4年度前の動向をもとにするため、制度上、その影響を整理し、67歳以下は新たに年金の受給を始める「新規裁定者」、68歳以上はすでに受給している「既裁定者」と区分している。

 年金は現役世代が支える制度であるため、基本は賃金の伸びに連動させるが、すでに受給している人は生活実態に…



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週刊エコノミスト

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