妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

内閣府が実施した「公共交通機関利用時の配慮に関する世論調査」によれば、優先席を必要とする方が近くにいると気づいた際、「席を譲ろうと思う」と答えた人は72.0%にのぼります。しかし、実際には行動に移せないなど、現場ではさまざまな葛藤が生じています。

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危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話します。 「席を譲るという善意の行為が、逆に拒絶されたり、第三者によって当然のように横取りされたりする。こうしたパターンは少なくありません。善意を示した人を無自覚に傷つけていることに、当事者が気づいていないことが問題の本質です」

都内の会社員、鈴木未来さん(仮名・29歳)は、ある朝の通勤電車で体験した出来事が今も頭から離れないといいます。

未来さんが席を立ったのは、杖をついた高齢女性が乗り込んできたのに気づいたからでした。ところが、立ち上がった瞬間、後ろにいた40〜50代とおぼしき女性が、連れていた子どもらしき人物の手を引き、「ほら、座らせてもらいな」と空いた席に滑り込ませたのです。その子どもは身長160cmを超え、スマートフォンでのゲームに夢中になっている中学生ほどの体格でした。

その結果、本来座るはずだった高齢女性は、そのまま立ち尽くすことになってしまいました。

「あんたに譲ったわけじゃないのに……。なんであんたが座るの?」

未来さんは心の中で叫んだといいます。

「小さなお子さんなら分かります。でも、おばあさんを押しのけてまで、体格のいい中学生の息子を座らせようとする心理が、私には理解できませんでした。もしかしたら何か事情があったのかもしれませんが、あまりに強引で」

平塚氏は、「善意を行う側が萎縮してしまえば、社会全体が優しさを失っていきます」と危惧します。

未来さんは高齢女性を立たせたままにするわけにはいかないと、さらなる行動に出ますが、そこで追い打ちをかけるような仕打ちにあったと話してくれました。

「別の方に席を譲ってもらえないか打診をしたのですが、そこで起きた反応に、ひどく残念な気持ちになりました。私の行動は間違っていたのでしょうか」

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※本記事で使用している写真はイメージです。 【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】山本康裕 PHOTO:Getty Images【出典】内閣府:公共交通機関利用時の配慮に関する世論調査

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