メディカルサポネット 編集部からのコメント
政府は、OTC類似薬の薬剤費の一部を保険給付外とする「一部保険外療養」の創設を盛り込んだ健康保険法等改正案を閣議決定し、国会に提出しました。対象薬剤では患者負担が実質47.5%に上昇します。医療界の一部からは、制度創設により患者負担拡大が広がるとの懸念も出ています。
政府は3月13日、OTC類似薬の薬剤費の一部を保険給付外とする「一部保険外療養」の創設などを盛り込んだ健康保険法等改正案を閣議決定し、国会に提出した。
事実上、3割を超える患者負担の徴収を可能にする「一部保険外療養」制度に対しては、医療界の一部で「創設されると医薬品以外も対象とされていく危険性が高い」など反発の声が広がっている。
OTC類似薬については昨年12月、関係閣僚の折衝を経て、通常の自己負担に上乗せして特別の料金(保険外負担)を患者に求める仕組みを創設することが決まった。
対象となるのは、鼻炎、胃痛、痛み止め、肩こり、風邪症状など「OTC医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品」77成分・約1100品目。
特別料金の水準は「対象薬剤の薬剤費の4分の1(25%)」とされ、小児やがん・難病患者などには配慮措置が設けることとなった。政府は2027年3月施行を目指している。
■対象薬剤の自己負担割合「47.5%」に
この新たな仕組みは、当初、混合診療を例外的に認める保険外併用療養費制度の「選定療養」に位置づけられるともみられていたが、OTC類似薬を保険適用の対象としながら費用の一部を保険給付外とするのは選定療養の趣旨から外れているとの指摘があり、「一部保険外療養」という新たな制度を創設することとなった。
12月25日の社会保障審議会医療保険部会でも、OTC類似薬の保険外負担を選定療養に入れることに対し、「OTC類似薬(の患者負担見直し)は保険診療の中での話。果たして既存の選定療養の範囲に入るのか」(伊奈川秀和国際医療福祉大教授)など疑問の声が上がっていた。
3割負担の現役世代の場合、対象薬剤の自己負担割合は保険外負担の25%と、保険部分の75%の3割(22.5%)を合わせた47.5%となるため、医療保険部会では「(患者は)薬剤費用のほぼ半分を持つことになる。この負担に関して早い段階から国民への発信をお願いしたい」(渡邊大記日本薬剤師会副会長)などの意見も出された。
■「医薬品以外も対象とされていく危険性が高い」
厚労省によると、一部保険外療養の導入でOTC類似薬の自己負担額(3割負担の場合)は、解熱鎮痛剤(5日分)の場合45円が72円に、抗アレルギー薬(30日分)の場合540円が855円に増える(図参照)。
患者の薬剤負担を実質的に5割にする「一部保険外療養」の制度創設に対しては、医療界の一部に強い反対意見があり、神奈川県保険医協会は3月2日に発表した談話で「(一部保険外療養は)保険適用されているものを部分的に保険外とする仕組み。患者負担を実質的に拡大する『打ち出の小槌』だ」「創設されると医薬品以外も対象とされていく危険性が高い」など、患者負担拡大に歯止めがかからなくなることへの懸念を示している。

■後期高齢者の保険料などへの金融所得反映も
健保法等改正案には、一部保険外療養の創設のほか、「後期高齢者医療の保険料や窓口負担割合の判定への金融所得(上場株式の配当など)の反映」「出産の標準的な費用に自己負担がかからないようにするための給付体系の見直し」「高額療養費の年間上限の創設」などが盛り込まれている。
上野賢一郎厚労相は3月13日の記者会見で、健保法等改正案について「必要な保険給付等を適切に行い、世代間や世代内での負担の公平性の確保を図るとともに、限られた財源及び医療資源を効率的に活用することを目的として提出している」と述べ、負担増を含む法案への理解を求めた。
出典:Web医事新報
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