小学5年生から始まる「家庭科」には、子どもが自分たちの「生活」について考え、暮らしを大切にする目を養う学びが満載。そんな家庭科の「役割」について、家庭科教育学を専門とする横浜国立大学教育学部教授の堀内かおるさんにお話を聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids2025年夏号」(朝日新聞出版)からお届けします。

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家庭科は、家事を教える教科ではありません

家庭科を学ぶことで選択肢が広がる
自分で「選べる」大人になってほしい

家庭科は、家事を教える教科ではありません

 小学5、6年生で週に1度学習する「家庭科」。家庭科というと、調理実習や裁縫などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。家庭科教育学を専門とする横浜国立大学教育学部教授・堀内かおるさんは「青菜のおひたしを作ったり、ミシンを使ってエコバッグを作ったり。子どもたちも家庭科を楽しみにしています。それはとてもいいことなのですが、家庭科の学びは、『道具を使ってモノづくりをする』ことが目的ではないのです」と話します。

「家庭科教育の目標として、学習指導要領には『生活をよりよくしようと工夫する資質や能力の育成』とあります。これはつまり、自分の生活を“整える”力をつけること。モノづくりは、あくまでその“手段”なのです」(堀内さん)

 子どもたちは、ふだんの生活の中で「自分たちの生活って、どんなふうにしてまわっているんだろう」「誰がどんなことをしてくれているんだろう」ということを考えることはほとんどないはず。

「すべて大人がやってくれるし、よっぽど特別なことがない限り考える必要もありませんよね。そこで、家庭科ではまず“自分たちの生活にはどんな人が関わっているか”“どんなことをしてくれているか”に目を向けます」

 衣食住や経済、環境……自分が生まれてから今に至るまで、たくさんの人が関わってくれているから、自分たちの生活は成り立っているということを学びます。

「そこに、“誰かのため”という視点が加わります。ほかの人のためになる、喜んでもらうことができる自分になる、という視点ですね」

「共同の暮らし」の一員である子どもたち。その中でできる仕事を増やせば、その仕事は自分のためにもなるし、ほかの人のためにもなります。

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AERA with Kids編集部

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