「いま、○○しなさい!」と叱る前に、理由を説明し、子どもの言い分に耳を傾ける。デンマークの家庭で行われているのは、大人同士と変わらない徹底した議論です。親子で「納得感」を積み重ねる習慣が、将来の主体性や社会性を育みます。
今回はデンマーク在住25年のニールセン北村朋子さんの著書『経済力も幸福度も高くなるデンマークのすごい教育』(青春出版社)を一部抜粋してご紹介いたします。
日本人が忘れがちな「子どもは親の所有物ではない」という原点に立ち返るためのヒントを解説します。
デンマークの家庭教育
子どもは親とは別の人格を持った、独立した個人
デンマークでは、上下関係、ヒエラルキー、格差が比較的少ない社会構造を目指しています。世界の歴史を振り返ってみても、そのほうが社会が安定しやすいからです。
このヒエラルキーのなさ、平等な関係性は、職場の上司と部下、学校の教師と生徒、家族のメンバーの関係性においても同じです。
例えば、会社でも上司を役職で呼ぶことはなく、ファーストネームで呼び合います。学校での先生と生徒も同様です。
家庭では、両親のことはFar(ファー:お父さん)、Mor(モア:お母さん)などと役割で呼びますが、関係性としては対等です。
日本で生まれ育った私にとって、デンマークでの子育ては、正直に告白すると、実に「面倒くさい」ものでした。なぜかというと、デンマークでは家庭でも、常に「民主的であること」が求められるからです。
例えば、子どもにいま、何かをしてもらいたいと頼む時。私が子どもの頃は、父や母がよく私に「いますぐ○○しなさい!」と言ってきました。私自身はその時に何かをやりかけていたり、すぐにやりたい気分ではなかったりして「え~どうして? いまじゃなきゃダメなの?」としぶります。すると「いいから早くやりなさい!」「口ごたえしないで、すぐに言うことを聞きなさい!」と問答無用でやらされることも多く、よくモヤモヤしたりムカムカしたりしたものでした。
でも、デンマークではこのやり方は一切通用しません。もし子どもが何かをやっている最中だとしたら、子どもが納得するように説明できなければ、子どもは親の指示でもすぐには従わないことが多いのです。
だから、「これから、○○をしてほしいと思っているの。理由は××だから」と説明すると、子どもが「いますぐじゃなきゃダメ? いま、△△をやっているから、あと30分くらいしたら、○○ができると思うんだけど」「そう。じゃあいまやっていることが終わったら、30分後くらいを目処にお願いね」という具合です。
これは、子どもから大人に何かを頼んだりする時も同じです。できるだけ、お互いが納得して合意した上で、できるような状況に持っていこうとします。
お互い違うからこそ、よく話し合う
