妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』
東京の中学入試が2026年2月1日に解禁日を迎え、6日には多くの受験が終了。SNS上では人気校の倍率や入試問題の難易度に関する情報が飛び交っている。だが、「桜が咲いた」ご家庭ばかりではないという現実に胸が締め付けられる思いだ。
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危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「首都圏中学模試センターの集計によると、2025年の首都圏私立・国立中学の受験者数は約52,300名(推定)と前年よりは微減。しかし、受験率自体は過去最高水準を維持しており、少子化が進む中でも中学受験熱は依然として極めて高い状況にあります。2026年の最終的な数字がどう動くか、注視が必要です」
長引く物価高騰の中、教育費の負担を感じている家庭も少なくない。
「都心の中学受験は、数百万単位の費用が投じられる『総力戦』です。年末年始も休みなく塾へ通うご家庭も多く、家族一丸となって挑む一大プロジェクトであることは言うまでもありません」
そんな中で誰より力を振り絞っているのは、言うまでもなく受験生本人だ。しかし、親はその事実を時に忘れてしまうことがある。今回お話を聞いたのは、中学受験を機に母親への不信感を募らせたと語る大学生だ。
吉本聖さん(仮名・21歳)は、教育熱心な両親のもとで育った。二人の兄は中学受験で、いわゆる「御三家」と呼ばれる最難関校に入学している。
「幼い頃から、常に二人の兄と比べられて育ちました。兄たちはスポーツも勉強も万能で、僕だけ遺伝子が違うんじゃないかと、本気で自分だけ養子なのではないかと悩んだ時期もありました」
5歳上の長男、3歳上の次男が順調に御三家に入学し、最後の一人となった聖さん。
ー三兄弟、別々の御三家に行かせるのがママの夢!
母親は嬉々として、周囲にそう語っていたという。
「ですが、僕は母の期待を裏切り続けることになりました。勉強が苦手で、到底『御三家』を狙えるレベルではなかった。それでも母は『御三家以外は許さない!』と志望校を下げることを許してはくれませんでした」
結果は残酷だった。第一志望は不合格。翌日も、その翌日も、不合格の通知が続いた。
「試験当日、僕はプレッシャーに押しつぶされそうで震えが止まりませんでした。真っ白になってしまい、ろくに問題を解くことができなかったのが現実です」
それでも必死に試験を受け続けた聖さんだが、最終日の前夜、リビングから漏れ聞こえてきた母親の声に、心を粉々に砕かれることになる。
ーあのバカ。本当にバカ。やっぱりダメだったじゃない。このままじゃ、明日もどうせ無理よ。
ー恥ずかしくて塾に挨拶にも行けないわ。一家の恥よ!
聖さんは、布団の中で声を殺して震えていた。
平塚氏はこう指摘する。
「12歳の子どもにとって、中学受験は想像を絶する重圧です。そこで最も信頼すべき親から努力を否定され、罵倒されるとはあまりにも残酷。傷つくのは当然であり、その傷は一生残る可能性があります」
聖さんに、現在の母親との関係を聞いた。
「母とは、いずれ縁を切るつもりです。あの日以来、僕への暴言はさらにエスカレートしました。何よりムカついたのは僕が大学へ進学した際、豹変したこと。そのときの言葉は、あまりに残酷で今思い出しても震える。二度と、あの人を許すことはできません」
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※本記事で使用している写真はイメージです。 【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】常田真悠 PHOTO:Getty Images 【出典】首都圏中学模試センター「2025年私立・国立中学校の受験者総数」
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