抗酸化物質の宝庫のハーブは心血管疾患、がん、炎症などの予防に役立つという証拠が次々と明らかになっている。(VISUSCHAK, GETTY IMAGES)

抗酸化物質の宝庫のハーブは心血管疾患、がん、炎症などの予防に役立つという証拠が次々と明らかになっている。(VISUSCHAK, GETTY IMAGES)

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 ハーブやスパイスといえば、シナモン、ターメリック(ウコン)、ジンジャー(ショウガ)などが注目されがちだ。しかし、パセリ、セージ、ローズマリー、タイムといった料理用ハーブを使えば、料理に風味が付くだけでなく、健康への効果も得られるという科学的な証拠が次々と明らかになっている。

「基本的にハーブとは、緑の葉をもつ植物のことです。特定の植物の葉の部分を利用します」と、登録栄養士兼シェフで、『The Plant-Based Diabetes Cookbook(糖尿病患者向けの野菜中心の料理本)』の著者でもあるジャッキー・ニュージェント氏は言う。大量に使うことはまずないが、「健康に役立つ力を秘めているという点では、ハーブも野菜の一種だと考えてよいでしょう」

 ハーブにはどんな効果があるのか? 米サンディエゴを拠点にする栄養と健康の専門家で、ポッドキャスト「1,000 Waking Minutes」のホストも務めるウェンディ・バジリアン氏は、「抗酸化物質の宝庫」であることが、ハーブの重要な特徴の一つだと指摘する。

 抗酸化物質は、フリーラジカルと呼ばれる有害で不安定な分子を中和して、体を守ってくれる。フリーラジカルは酸化ストレスを引き起こし、細胞やDNAといった体内の重要な構造に損傷を与える。研究によると、植物中心の食事で十分な量の抗酸化物質を摂取すれば、心血管疾患特定のがん前立腺がんなど)、神経変性疾患を防げる可能性があるという。

 ハーブには、体内の炎症を抑える物質も豊富に含まれている。2026年3月に学術誌「Nutrients」に掲載されたレビュー論文では、コリアンダー(パクチー)、セージ、ミント、バジル、ローズマリー、オレガノ、タイムの抗炎症作用に関して、既存の研究が分析された。

 その結果、1種類のハーブを用いた場合は1日最大3グラム(種類や形状などで異なるが大さじ1杯ほど)、複数のハーブを組み合わせた場合は1日最大合計6.6グラムを摂取することで、抗炎症の効果が得られると判明した。

 ハーブなどの植物を細菌や真菌といった微生物から守るファイトケミカル(ポリフェノールやカロテノイドなど植物に含まれる物質)や生物活性物質(生物の生理機能に何らかの作用を及ぼす物質)は、健康を脅かすものから「人間を守るうえでも役立つ」と、登録栄養士であり、米食品技術者協会(IFT)栄養部門のメンバーでもあるアレクサンドラ・カザークス氏は言う。

 さらに、ハーブは「ビタミンやミネラルをはじめ、健康を促す成分が豊富です」とバジリアン氏は説明する。「ハーブを使えば、果物や野菜、全粒穀物、ナッツ、シード、プロテイン、ヨーグルトなど、積極的に食べたほうがいい食品がおいしくなります」(参考記事:「タケノコは栄養豊富なスーパーフード、健康への多くの効果が判明」

 他にはない健康効果をもつハーブもある。例えば、バジルは腸内環境を整え、ローズマリーはアレルギー反応を抑えてくれる可能性がある。通常、1日に小さじ数杯または大さじ数杯で効果が期待できる。ハーブを組み合わせれば、健康促進の効果が積み重なっていく。(参考記事:「アマニ粉末はスーパーフード、腸や心臓に有益 適切な食べ方は」

 ここでは、6種のハーブについて、含まれる栄養素や期待できる健康効果にどんな違いがあるのかを詳しく見ていこう。(参考記事:「マルチビタミンサプリを取るべき人とダメな人とは、専門家が解説」

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